日本臨床外科学会雑誌
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異常血管と肺動脈の同時造影が有用であった肺葉内肺分画症(Pryce I型)の1手術例
四方 裕夫佐々木 規之上田 善道高山 宗之中西 正樹浅野 元和松原 純一
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2004 年 65 巻 4 号 p. 929-933

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抄録

症例は46歳,女性.平成13年3月,咳嗽,発熱を主訴として来院.胸部X線写真で右下葉に肺炎の所見を認めた.肺炎と診断して加療のため入院した.幼少時より感染を繰り返していたとのことで精査を進め,検査の結果Pryce I型肺内肺分画症を疑った. MRI, DSAで異常血管を同定し,更に肺動脈との相互関連を検討する目的で肺動脈と異常血管の同時造影を行い,分画部から正常肺静脈への還流を認めた.感染の沈静化後の平成13年6月手術目的に再入院した.分画部より肺静脈への還流の情報を得ていたため, VATSでの分葉は危険と判断して開胸した.約1cmの異常動脈を可及的に大動脈近くで刺入結紮切離した.その後右下葉切除を行った.経過良好で術後17日目に退院し,その後肺の感染症状をきたしていない.肺動脈と異常血管の同時造影が肺内分画部の切離時に有用であった症例を経験した.

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