日本臨床外科学会雑誌
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胃癌術後症例における血中ビタミンB1値に関する検討
蛭川 浩史遠藤 和彦後藤 伸之佐藤 大輔長谷川 潤今井 一博木村 愛彦畠山 勝義
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1473-1479

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抄録

胃癌術後例の血中ビタミンB1値について検討した.対象は胃癌術後3カ月以上経過した112例で,ビタミンB1値を測定し大腸癌術後症例25例のB1値と比較した.また胃癌術後例で低値を示した症例にビタミンB製剤の内服投与を行いB1値の変動を検討した.さらに胃癌術後例にアンケートを行いビタミンB1低値例の背景因子を検討した.結果,胃切除後例の血中ビタミンB1値は平均2.9μg/dl,大腸癌術後例は3.0μg/dlで両群に有意差はなかった.またビタミンB1欠乏は胃癌術後例の12例(10.7%),大腸癌術後例の1例(4%)にみられ,両群に有意差はなかった.またビタミンB製剤の内服で全例B1値が上昇した.アンケートの結果では低値例では正常例と比し体重減少率が高かった.以上からB1値の低下は胃切除術に起因したものではないが,低値を示す例があり,適切な食事指導や投薬などの細かな配慮が重要であると考えられた.

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