日本臨床外科学会雑誌
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Neoadjuvant therapyとしてtamoxifenが奏効した進行乳癌の1例
前田 啓之豊田 暢彦本坊 拓也岩永 幸夫
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1501-1505

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抄録

近年,乳癌における術前内分泌療法の評価が高まってきている.今回われわれはtamoxifen内服にて短期間に肺転移巣が消失し手術療法に至った進行乳癌症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は64歳,女性. 2000年5月から咳嗽を自覚し2001年6月に胸部X線検査にて多発肺腫瘤を指摘された.左乳房に3 cm大の腫瘤を認め乳癌および多発肺転移と診断した.生検の結果,腫瘍はestrogen receptor強陽性であった.患者の全身状態は良好でlife threateningな状態にはなかった.インフォームドコンセントをとった結果,治療法として化学療法の前にtamoxifen単独内服を3カ月間行った.その結果,肺腫瘤がほぼ消失し原発巣の大きさも30%縮小した.患者の強い希望もあり3カ月後に非定型乳房切除術を施行した.術後補助化学療法としてCEF 3クールを施行し術後2年間無再発であった.

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