2004 年 65 巻 6 号 p. 1506-1510
心嚢液貯留による心タンポナーデに対して,剣状突起下心嚢穿刺や心膜切開が行われるが,再発も多く不確実である.心膜を切除する開窓術は確実性が高いが全身麻酔による開胸操作を要し,侵襲が大きい.われわれは利尿剤投与などの内科的治療に反応が乏しく,数回にわたる心嚢穿刺の施行によっても心嚢液貯留を認める高齢者の難治性心タンポナーデ症例に対して胸腔鏡下心膜開窓術を施行し良好な結果を得た.
胸腔鏡下心膜開窓術は分離肺換気による全身麻酔を必要とするが低侵襲で患者の回復も早く,良性の心タンポナーデのみでなく,悪性心嚢液貯留による心タンポナーデの姑息的治療としても施行できる方法と思われた.