日本臨床外科学会雑誌
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子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例
王子 裕東北角 泰人桑原 道郎中上 美樹夫徳家 敦夫田中 明
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1668-1671

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抄録

子宮広間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの0.016%を占める稀な疾患である.今回われわれは本疾患の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は78歳の女性.主訴は左下腹部痛,嘔吐.胃切除・胆摘および子宮疾患手術の既往がある.出産歴2回.平成14年6月4日くも膜下出血で手術施行し,当院脳外科入院中. 7月9日夕方頃より左下腹部痛が出現し, 7月10日午前2時,腹痛増強,嘔吐も出現.左下腹部に圧痛・反跳痛・筋性防御を認め,腹部CT検査で骨盤内に拡張した小腸と右側へ圧排された子宮を認め,絞扼性イレウスの診断のもと緊急手術を施行.術時血性腹水と左子宮広間膜の裂孔に嵌頓した小腸を認め,嵌頓を解除し壊死小腸を切除吻合した.左子宮広間膜裂孔は盲嚢を形成しており,同盲嚢を切開開放した.術後経過良好で第7病日に脳外科転科となった.

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