日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
仮性腸間膜嚢胞の1例
児島 祐松本 壮平上野 正義吉田 英晃
著者情報
キーワード: 仮性腸間膜嚢胞
ジャーナル フリー

2004 年 65 巻 6 号 p. 1672-1675

詳細
抄録

症例は74歳,男性. 2002年3月15日右下腹部痛を主訴に当科を受診した.受診時,腹部は軽度に膨隆し,右下腹部に5cm大の腫瘤を触知した.腫瘤に一致した圧痛,反兆痛を認めた.腹部X線写真でniveauを伴う小腸ガスの貯留を認め,腹部単純CTでは回盲部と思われる部位に7cm大の腫瘤を認めた.腫瘤壁には石灰化を伴い,腸管と密着していた.以上から腹腔内腫瘤による腸閉塞と診断し,同日手術を行った.開腹すると, Bauhin弁から150cm口側の回腸間膜に6.0×3.5cm大の嚢胞を認めた.嚢胞を包むように周囲の回腸が癒着していた.病理組織学的には嚢胞壁の内面に上皮細胞を認めず,線維性組織によって形成されており,小腸間膜に発生した仮性嚢胞と診断した.腸間膜の仮性嚢胞は極めて稀な疾患であり,文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top