日本臨床外科学会雑誌
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超高齢者に発症した同時性両側閉鎖孔ヘルニアの1例
山田 誠斉藤 史朗安藤 公隆甲賀 新
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1701-1705

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抄録

症例は96歳,女性.悪心と頻回の嘔吐を認め当院を受診した.経過観察入院後3日目に,腹部X線写真でイレウスと診断され,イレウス管にて保存的治療を開始した.挿入5日目のイレウス管造影で左閉鎖孔近傍での小腸閉塞像を認め,直後のCTで両側の恥骨筋と外閉鎖筋の間に腸管像が確認されたため,両側閉鎖孔ヘルニア嵌頓によるイレウスの診断にて緊急開腹術を施行した.開腹すると,空腸が左閉鎖孔に,回腸が右閉鎖孔にRichter型に嵌頓しており,用手的整復・ヘルニア門閉鎖後,壊死に陥っていた回腸は楔状切除した.術後経過は良好で,術後33日目に退院した.
両側閉鎖孔ヘルニアは,本邦では自験例を含め同時性16例(2.1%),異時性7例の計23例(3.1%)が報告されているのみである.しかし,閉鎖孔ヘルニアが疑われる症例では,稀ではあるが両側である可能性も念頭におき,術前および術中の検索を充分に行うことが重要と考えられた.

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