日本臨床外科学会雑誌
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真性胸部嚢状大動脈瘤に対するパッチ形成術の遠隔成績
村上 貴志杭ノ瀬 昌彦宍戸 英俊稲垣 英一郎種本 和雄
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2291-2293

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抄録

[目的]胸部嚢状大動脈瘤に対する瘤切除パッチ形成術は,簡便な方法として施行されてきたが,術後長期での大動脈瘤発生の問題が指摘されている.今回当院における遠隔成績を検討した.[方法]1988年8月から2001年12月までに行われた,真性胸部嚢状大動脈瘤に対するパッチ形成術8例のうち,手術生存例7例の遠隔成績を追跡した.[結果]7例中6例が追跡可能であった.大動脈瘤の再拡大は3例で確認され2例に再手術を施行した.突然死を2例で認め,術後2年目に突然死した1例は,死体解剖にて吻合部の破裂を確認した.[結論]真性胸部嚢状大動脈瘤に対するパッチ形成術後には,高率に動脈瘤の再発を認めた.非常にhigh riskな症例や動脈硬化性でないものを除いて,原則的には大動脈全置換が選択されるべきと考えられた.

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