日本臨床外科学会雑誌
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下行結腸癌切除後の転移性膵腫瘍の1例
遠藤 健松山 秀樹上野 貴史内田 靖之高橋 豊
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2464-2467

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抄録

症例は63歳女性. 1997年5月に下行結腸癌(高~中分化型腺癌,深達度ss, n0, ly(+), v(+))にて左半結腸切除術を受けた.その後2000年7月に右肺に転移を認め,胸腔鏡下右肺上葉切除術を施行された.以降の経過中CEA上昇(612ng/ml)を機に,膵尾部に腫瘍を診断された.内視鏡的逆行性膵管造影では膵尾部にて主膵管の途絶を認めた.腹部CTでは膵尾部に辺縁不規則な3cm大の腫瘍を認め,造影CTでは濃染されなかった. CA19-9, DUPAN-2は正常であり,転移性膵癌と診断し,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的には原発巣と同様の組織型を呈し,下行結腸癌の膵転移と診断された.本症例は肺転移後の膵転移であり,全身血行性転移の一部分症と推察されたが,限局性転移巣であるため,切除の適応があり,長期的予後も期待し得ると考えられた.

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