日本臨床外科学会雑誌
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術前診断に難渋した乳腺adenomyoepitheliomaの1例
小西 寿一郎武田 泰隆田中 浩明木村 直美田原 秀晃
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2005 年 66 巻 1 号 p. 31-35

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抄録
症例は83歳女性.右乳房の腫瘤を主訴に当院受診.右乳房C'領域に1cm径の腫瘤を触知し弾性硬であり可動性を認めた.乳腺超音波検査では境界比較的明瞭で内部は低エコー,部分的に不均一な像を認めた.乳腺MRI検査にて悪性所見を呈していたが, mammographyでは境界明瞭で均一な良性所見を呈していた.穿刺吸引細胞診にてclass Vと診断されたため乳癌を強く疑ったが,患者の全身状態が悪いため,局所麻酔下に乳房円状部分切除術のみを施行した.病理組織学的には, HE染色で腺上皮および淡明な胞体を有する筋上皮が種々の割合で混在し増生していた.免疫組織化学染色では, AE1/AE3にて増殖した腺上皮部分が強陽性で, SMAでは増殖した筋上皮部分が陽性であったことよりadenomyoepitheliomaと診断された. Adenomyoepitheliomaは稀な疾患であり,臨床上乳癌との鑑別に難渋する場合もあるため鑑別診断として考慮する必要がある.
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