2005 年 66 巻 10 号 p. 2385-2389
極めて稀な乳腺原発の腺様嚢胞癌(ACC)を2例経験したので報告する.症例1は65歳,女性で圧痛を伴う左乳房腫瘤を主訴に当科受診した.穿刺吸引細胞診で診断がつかず,切除生検で診断が確定し胸筋温存乳房切除術を施行した.術後8年8カ月経過した現在再発の徴候なく健在である.症例2は54歳,女性で圧痛を伴う左乳房腫瘤を主訴に当科受診した.穿刺吸引細胞診で診断がっき,乳腺原発ACCはリンパ節転移が稀であることより単純乳房切除術を施行した.術後6年7カ月経過した現在再発の徴候なく健在である.
2例とも臨床上,乳頭近傍の圧痛を伴う腫瘤が特徴であるが画像上の特徴には乏しく,確定診断には穿刺吸引細胞診または切除生検が必要であった.術前診断が得られていれば手術術式は,乳房温存手術+センチネルリンパ節生検が妥当と思われる.