日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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66 巻 , 10 号
選択された号の論文の56件中1~50を表示しています
  • 後藤田 直人, 木下 平, 小西 大, 中郡 聡夫, 高橋 進一郎, 斉藤 典男, 杉藤 正典, 伊藤 雅昭, 小林 昭広
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2355-2359
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    [目的]2003年1月に導入された胃切除クリニカルパス(以下,パス)の導入効果と今後の改善点について検証する.[方法]パス導入後の2003年1~9月に行われた幽門側胃切除102例とパス導入前の2002年1~9月に行われた105例と術後のアウトカムについて比較を行った.[結果]パス導入に伴い在院日数は22日から20日へ,術後在院日数も14日から12日と有意に短縮された.パスが適応された98例のうち86例 (88%) がパスから逸脱することなく経過,平均術後在院10日であった.平均入院医療費用も123, 229点から115, 802点に有意に減少を認めた.[結論]パス導入に伴い在院日数,術後在院日数や入院医療費用において向上がみられた.しかし術前在院日数の短縮は認めず問題点も明らかとなった.今後も引き続きアウトカムの解析を行い,パスを改善していく必要性があると考えられた.
  • 野家 環, 小西 敏郎, 米村 豊
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2360-2366
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    【目的】わが国での胃癌外科治療におけるクリニカルパス(以下, CP)の現状を明らかにするために,全国アンケート調査を行った.【方法】全国1,686施設にアンケートを送付し, 700施設から返答を得,うち654施設(38.8%)からの回答を集計分析した.【結果】654施設中74%の施設で外科手術に CP が導入され,うち41%で胃癌手術治療にCPが導入されていた.採用胃癌CP上位2術式は,幽門側胃切除98%, 胃全摘60%で, CP規定の平均在院日数は,各19.1日・21.6日であったが, CP内容の施設問較差は大きかった.胃癌CP導入後に,入院期間が短縮し,患者満足度が向上し,医療の質が向上した,とする施設が多数を占めたが, CPの導入により職員の負担が増したとの意見もみられた.【結論】胃癌治療において,在院期間を短縮させながら治療の質の向上を図るために, CPの導入普及は必須と考えられるが,職員の負担が増えないように配慮する必要がある.
  • 梶 理史, 小澤 俊総, 矢川 彰治, 野方 尚, 安村 友敬, 赤池 英憲
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2367-2371
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    経胆嚢管的総胆管結石除石術の有用性と安全性について検討した.
    1994~2003年の間の経胆嚢管的総胆管結石除石術施行群28例(以下C群)とTチューブドレナージ術施行群16例(以下T群)において,術前に計測した総胆管径,手術時間,術後入院期間,術後合併症および胆道系酵素の推移について比較検討した.この結果, C群において術後入院期間の有意な短縮(P<0.01)と合併症発生数の減少を認めた.
    経胆嚢管的総胆管結石除石術は有用かつ安全な術式であり,総胆管結石症手術において第一選択となりうることが示唆された.
  • 植木 匡, 若桑 隆二
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2372-2376
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ‹目的›閉鎖孔ヘルニア症例の嵌頓腸管をCTでのスライス数にて分け比較検討した.‹対象と方法› 1995年1月から2005年5月までの両側2例を含む23手術症例の25の嵌頓画像数を対象とした.矢状面でスライス幅 1cm にて間隔なく連続的に撮影した嵌頓腸管像のスライス数をカウントし3群に分けた. 0から2までを A 群(9例), 3・4をB群(13例), 5以上をC群(3例)とした.閉鎖腔の開大のみは0とした.‹結果›腸管切除率は, A 群が0%, B群が62%, C群が100%であった.非切除は14画像であった. 7画像は開腹時に嵌頓がなく, 6画像はRichter型で1画像は卵巣の嵌頓であった.還納後に待機もしくは発症日に手術した各々2例は非切除であった. Howship-Romberg徴候の陽性率はA群とC群の33%に比べB群が69%と高率であった.‹結語›嵌頓腸管のスライス数が2以下では嵌頓腸管切除の必要性はなく, 5以上では腸管切除を必要とした.
  • 西村 秀紀, 濱中 一敏, 砥石 政幸, 保坂 典子, 小林 信や
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2377-2380
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は認知症を伴う83歳の女性で,骨折治療の際に高カルシウム血症を指摘された.高感度PTHは25,300pg/mlと異常高値を示し, 99mTC-MIBIシンチグラムで左胸鎖関節尾側に集積を認めた.胸部造影CTでは,左右腕頭静脈合流部前と大動脈弓部前の2カ所に腫瘤性病変を認めた.高カルシウム血症を是正しないと入院治療を継続せざるをえないため,胸腔鏡下腫瘤摘出術を行った.右胸壁からアプローチし,胸腺左葉内の腫瘤を摘出し,組織学的に副甲状腺腺腫と診断された.術後経過は良好で,術後5日の血清カルシウムは基準値に復し, PTHも著明に低下し,精神症状の程度や行動も改善して入院治療が不要になった.縦隔内機能性副甲状腺腺腫に対する胸腔鏡下手術は有効で,高齢者においても安全に実施できた.
  • 岩本 伸二, 常深 聡一郎, 山本 誠士, 橋本 和明
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2381-2384
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳腺腺様嚢胞癌は全乳癌の0.1%以下と稀であり,また特徴的な病理組織所見を呈する疾患である.今回乳腺腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性,右CE領域に1.7×1.7cmの腫瘤を触知し来院した.マンモグラフィでは辺縁が軽度不整な類円形の腫瘤像として認められ,超音波検査では軽度不整形を呈する低エコーの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診では,粘液様間質の周りを小型で裸核状の腫瘍細胞が取り囲み,乳腺腺様嚢胞癌と考えられる所見であった.しかし画像診断にて癌としての確定診断に至らず,摘出生検を行ったところ,細胞診の診断通り乳腺腺様嚢胞癌と診断された.胸筋温存乳房切除術 (Auchincloss法)を施行したが,郭清したリンパ節には転移はみられなかった.乳腺腺様嚢胞癌は通常の乳癌に比べ,リンパ節転移の頻度も少なく,予後も良好とされており,縮小手術も可能であったと考えられた.
  • 石塚 真示, 中島 明, 佐藤 四三, 中島 晃
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2385-2389
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    極めて稀な乳腺原発の腺様嚢胞癌(ACC)を2例経験したので報告する.症例1は65歳,女性で圧痛を伴う左乳房腫瘤を主訴に当科受診した.穿刺吸引細胞診で診断がつかず,切除生検で診断が確定し胸筋温存乳房切除術を施行した.術後8年8カ月経過した現在再発の徴候なく健在である.症例2は54歳,女性で圧痛を伴う左乳房腫瘤を主訴に当科受診した.穿刺吸引細胞診で診断がっき,乳腺原発ACCはリンパ節転移が稀であることより単純乳房切除術を施行した.術後6年7カ月経過した現在再発の徴候なく健在である.
    2例とも臨床上,乳頭近傍の圧痛を伴う腫瘤が特徴であるが画像上の特徴には乏しく,確定診断には穿刺吸引細胞診または切除生検が必要であった.術前診断が得られていれば手術術式は,乳房温存手術+センチネルリンパ節生検が妥当と思われる.
  • 野口 忠昭, 堤 謙二, 宇田川 晴司, 橋本 雅司, 澤田 寿仁, 渡邊 五朗
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2390-2394
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹腔内原発のCastleman病の切除例を2例経験したので文献的考察を加えて報告する.症例はともに健康診断で腹腔内腫瘤性病変を指摘された.術前診断で確定診断に至らず,診断的治療として摘出術を行い,病理組織診断でhyaline vascular type Castleman病と診断された.症例1は62歳,女性.小腸腸間膜原発で腹腔鏡下切除術を行った.症例2は53歳,女性.小網原発で,開腹下で腫瘍切除術を行った. Castleman病は1956年にCastlemanらにより最初に報告された縦隔発生のリンパ節の過形成性病変である.腹腔内に原発するのは稀である.また小網に原発するものは本邦でも自験例を含めて6例のみである.本症例は完全切除が得られ予後は良好と考えられるが,リンパ腫の合併も報告されているので注意深い経過観察が必要である.
  • 粉川 庸三, 尾浦 正二, 平井 一成, 吉増 達也, 岡村 吉隆, 木下 貴裕
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2395-2397
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,男性.左上縦隔の異常陰影を主訴に当科を受診した.胸部CTにて前縦隔に7×5cmのモザイク状に造影される腫瘍を認め,血液検査にてα-fetoproteinが23,886ng/mlと異常高値であったことより,縦隔卵黄嚢腫瘍と診断した.シスプラチン20mg/m2/dayとエトポシド40mg/m2/dayの5日間投与を放射線同時併用で4週毎に2コース行った後に手術を行った.病理組織像では腫瘍は全て壊死に陥っており, EF. 3と判断した.術後化学療法を2クール追加し, 5年経過した現在,健存している.
  • 神野 正明, 四方 裕夫, 田中 潤一, 武内 克憲, 永吉 靖弘, 松原 純一
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2398-2402
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.胸部不快感認め,慢性心不全の診断にて循環器内科へ入院した.保存的加療に抵抗性の原因不明の心嚢液貯留で,精査加療目的,心タンポナーデ解除および原因検索のため,当科転科となり胸腔鏡下心膜開窓術と心膜生検を行った.心嚢水に悪性所見はなく,組織学的検討では細静脈から毛細血管レベルの血管炎を呈し,リンパ球浸潤が主体で内皮障害をきたし, small vesssel vasculitisと診断された.術後約1年以上経過しているが,心嚢液の再貯留ならびに心不全症状を認めていない.胸腔鏡下心膜開窓術は診断および治療的意義の両面を持ち合わせており,術前診断不可能な症例に対しても有用である.
  • 片岡 昭彦, 小池 雅彦, 蔵貫 勝志, 若山 顕治, 山田 俊二, 赤坂 嘉宣
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2403-2406
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性で増大する左前胸部のしこりを主訴に来院. CT検査, MRI検査などでは第1肋間から胸腔内へ進展する大胸筋下の腫瘍で,針生検にて悪性顆粒細胞腫が疑われ切除手術を行った.免疫染色,電子顕微鏡検査を含む病理組織検査で悪性顆粒細胞腫と診断した.術後8カ月後の再診時にはすでに局所,左胸腔内に再発を認め,術後12カ月で死亡した.悪性例の予後は不良で,その原因は局所再発が多いことに加えリンパ節転移や肺転移もみられるためである.本症例では局所再発と胸膜転移,肺転移が認められた.稀な腫瘍であり化学療法や放射線療法は効果がないといわれ,治療の難しい疾患である.
  • 平岡 史郎, 大崎 敏弘, 福田 篤志, 松浦 弘, 安元 公正
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2407-2410
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.胸部X線写真で左肺の虚脱を認め,初回発症の左自然気胸と診断した.胸腔ドレナージ術を行ったが,エアーリークが持続したため胸腔鏡下ブラ切除術を施行した.術後の病理組織検索で,腫瘍細胞がブラ内腔に向かって乳頭状に増殖する病巣と,一部には肺実質の肺胞壁に沿って進展する病巣を認め,プラ壁近傍に発生した微小肺腺癌と診断した.術前CT検査,術中所見でも肺癌を示唆する病巣は認めなかった.中年以降の気胸症例では肺癌の合併を念頭に置き,注意深い検索が必要である.
  • 吉岡 泰彦, 谷口 英治, 栗原 陽次郎, 太田 喜久子, 吉川 正人, 大橋 秀一
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2411-2415
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.突然の心窩部痛,嘔吐のため上部消化管透視を受け,十二指腸球部が食道裂孔へ嵌頓した間膜軸性胃軸捻転を伴う混合型食道裂孔ヘルニアと診断され入院となった.保存的な加療も胃内視鏡による整復も不成功であったため腹腔鏡下手術を行った.術前診断のとおり胃は間膜軸性に屈曲し,幽門部から十二指腸球部が開大した食道裂孔の右縁に沿って嵌頓していた.腹腔鏡鉗子で胃壁を把持し慎重に尾側へ牽引したところ,癒着を認めず容易に整復しえた.以後は通常の腹腔鏡下Nissen手術と同様であった.
    間膜軸性胃軸捻転とは胃が大彎と小彎を結ぶ軸で捻転する病態である.間膜軸性胃軸捻転を伴う食道裂孔ヘルニアの成人での報告は稀であり,この病態を腹腔鏡下に整復根治した報告は極めて少ないことから報告する.
  • 安藤 公隆, 松橋 延壽, 宮原 利行, 山口 和也, 森 義雄, 小倉 真治
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2416-2421
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    68歳,女性.主訴は下腹部痛.平成16年6月8日下腹部痛が出現し,近医を受診して腹膜炎を疑われ当院紹介受診となった.腹部CTにて胃前庭部に3cmの高吸収域を呈する異物による線状陰影を認め,この異物は胃壁を貫通して周囲には腹腔内遊離ガス像を伴っていた.発症前日夕にぶりを食べていたことが判明し,緊急GIFを施行したところ,胃前庭部前壁幽門輪近傍に魚骨が刺入しており,魚骨による胃穿孔とこれに伴う限局性腹膜炎と診断された.内視鏡下に魚骨を除去し,入院の上保存的治療を行って第10病日に内科に転科した.魚骨による胃穿孔は稀な疾患とされ,本邦での報告例は自験例も含め23例ある.ほとんどの症例が開腹手術を施行されているが, CT所見より魚骨の存在は診断可能であり,発症早期であれば内視鏡による魚骨の除去と抗生剤投与による保存的治療が第一選択となり得る可能性があると考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 肥田 侯矢, 加藤 滋, 清水 謙司, 山本 秀和, 小西 靖彦, 武田 惇
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2422-2425
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    透析患者に発症し,急激な経過をたどった気腫性胃炎(emphysematous gastritis)の1例を経験したので報告する.
    症例は66歳,男性. 35歳時より腎不全にて透析中であった.透析中に右膝痛が出現し,化膿性膝関節炎の診断で整形外科に入院したが,入院3日目の夜間に突然意識レベルの低下を認め,疼痛刺激に反応する程度となった.胃管を挿入したところ血性排液があったため,緊急内視鏡を施行.小彎を中心とした胃壁全体の発赤とびらん,出血を認めた. CTにて食道,胃,十二指腸の壁内気腫と門脈内ガスが確認され気腫性胃炎と診断した.昇圧剤,輸血の使用にもかかわらず,全身状態が急速に悪化し発症後24時間で死亡が確認された.
  • 川瀬 寛, 海老原 裕磨, 北城 秀司, 奥芝 俊一, 加藤 紘之, 近藤 哲
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2426-2430
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性.上腹部痛を主訴に当院内科を受診した.受診時,腹部全体の筋性防御,胸部単純写真上のfree airを認めたため,消化管穿孔の診断にて入院となった. CT上のfree air, 腹水,および上部消化管内視鏡で胃体上部前壁に潰瘍病変が認められたため,胃穿孔と診断し緊急的腹腔鏡下大網被覆術を施行した.術後経過は良好であったが,術前に行った内視鏡検査の際の潰瘍穿孔部近傍の生検にて低分化型腺癌の診断を得たため,初回術後20日目に胃全摘術+D2郭清を施行した.手術時,創下への癒着はなく,初回の腹腔鏡下手術が有効であった.病理組織学的には1.5×1.5cm大,深達度sm2の早期胃癌の診断であったが, U1-IVの潰瘍底部には癌細胞は認めず,潰瘍穿孔を伴った早期胃癌と診断した.術後経過は良好であり,術後9カ月の現在再発なく外来通院中である.
  • 福田 直人, 和田 浄史, 高橋 茂雄, 高橋 克之, 三浦 康成
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2431-2435
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    汎発性腹膜炎に対する腹腔鏡下大網被覆術+腹腔ドレナージ術後に,2期的根治術を施行しえた胃癌穿孔の1例を経験した.症例は49歳,女性で腹部疼痛を主訴に当院に緊急入院となった.消化性潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎の術前診断で,腹腔鏡下大網被覆術+腹腔ドレナージ術が汎発性腹膜炎の治療としてまず行われた.しかし術後6日目の胃内視鏡検査にて進行胃癌と確定診断されたため, 19日目にリンパ節郭清を伴う胃癌根治手術を附加した.汎発性腹膜炎に対する腹腔鏡手術は低侵襲で術後の回復も早いため,まず腹腔鏡で腹膜炎の治療を行った後, 2期的に胃癌根治術を行う方法は胃癌穿孔に対する治療法として有効であると考えられた.
  • 倉本 正文, 蓮尾 友伸, 石原 光二郎, 池嶋 聡, 岩槻 政晃, 島田 信也
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2436-2440
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃の小細胞癌は稀な疾患であり,予後も極めて不良である.今回われわれは噴門部の2型小細胞癌を経験した.症例は63歳,男性.食後つかえ感にて近医受診.上部消化管内視鏡検査を施行され2型噴門部小細胞癌の診断で当科紹介となった. CTにて胃小彎に40×45mm大のリンパ節の腫大を認め,血管造影では左胃動脈~脾動脈を圧排していた. T3, N1, M0, Stage IIIAの噴門部胃癌の診断で胃全摘脾臓合併切除術施行した.術中所見は,主病巣はSE, 洗浄細胞診はCY0, 小彎リンパ節は左胃動脈,脾動脈から剥離し切除しえた(最終病理診断: small cell carcinoma, T3, int, INFγ, 1y3,v2, pN1, Stage IIIA, 根治度B).術後経過は特に問題なく良好であった.術後補助化学療法としてPE療法(Cisplatin/Etoposide併用療法)施行した.術後10カ月で多発肝転移認めたため, CDDP/CPT-11併用療法施行.徐々に転移巣増大し,術後14カ月で永眠された.
  • 吉田 尚弘, 村上 望, 伴登 宏行, 小泉 博志, 小竹 優範, 山田 哲司
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2441-2445
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は67歳,男性. 2003年6月に上腹部痛が出現し近医を受診したところ,上部消化管内視鏡検査にて早期胃癌が疑われたため当科紹介となった.胃前庭部,体上部,噴門部の計3カ所の早期胃癌の診断で胃全摘術を施行した.切除標本では前庭部前壁に1.8×0.9cm, 体上部後壁に5.5×2.1cmの早期胃癌を認め,さらに後者の直下には1.3×0.7cmの粘膜下腫瘍を認めた.粘膜下腫瘍はRosai分類でUncommitted typeに相当するgastrointestinal stromal tumor (以下GIST)であった.早期胃癌と胃GISTの同一部位における併存は極めて稀な症例であり,胃癌とGISTの起源,発生を考察するにあたり興味深い症例であると思われる.
  • 青木 浩一, 山家 仁, 伊藤 哲哉, 森 尚秀, 石津 要
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2446-2449
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性で右下腹部痛を主訴に来院した.腹膜刺激症状と腹部CTにて小腸壁の腫脹を認め,絞扼性イレウスの診断にて緊急手術を施行した.小腸間膜と後腹膜の癒着による間隙孔に60cmの回腸が嵌入していた.術後3日目より経口摂取を開始したが,術後10日目より嘔吐が出現した.上部消化管造影では腸回転異常と十二指腸下行脚より肛門側への造影剤の流出が不良であり,腹部CTでは小腸の右側後腹膜腔への嚢状集積像を認めた.以上より右傍十二指腸ヘルニアの診断にて再手術を施行した.右側の傍十二指腸窩に長さ50cmの近位側空腸が嵌入していた.空腸を用手的に整復し,ヘルニア門の縫縮を行った.本疾患は先天性腸回転異常によってできたヘルニア嚢に,後天的に腹腔内圧の上昇や腸管蠕動の異常が加わって発症すると考えられているが,この説を裏付ける症例と思われた.このような経緯をとった報告例はわれわれの検索範囲内では他に見当たらなかった.
  • 岡田 邦明, 近藤 征文, 石津 寛之, 益子 博幸, 秦 庸壮, 川村 秀樹
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2450-2454
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.右季肋部と背部の重苦感を主訴に当院受診.造影CTで膵頭部に拡張した血管を内部に多数認める腫瘍が存在した. ERCPで下部胆管は圧排伸展,主膵管も滑らかに伸展され狭小化していた.血管造影では腫瘍血管の増生が著明で, AV shuntが存在し動脈相早期より流出静脈と門脈が描出された.上腸間膜動脈より分岐する栄養血管を塞栓した後に,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)を施行した.病理組織検査で腫瘍は紡錘形細胞からなり,免疫染色ではc-kit, vimentinが陽性, CD-34, S-100, desmin, α-SMA, HHF-35は陰性で十二指腸GISTと診断した.膵頭十二指腸領域の血流の豊富な病変に対するPPPD術前の動脈塞栓術は術中出血量を減らす有効な前処置である.
  • 松田 明久, 古谷 政一, 清水 康仁, 沖野 哲也, 佐々木 順平, 田尻 孝
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2455-2458
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸閉塞症例に対するガストログラフィンの消化管内投与にて尿路系が描出された1例を経験したので報告する.症例は52歳,女性で術後癒着性腸閉塞の診断で入院となった.ガストログラフィン120mlによる消化管造影8時間後の腹部X線写真検査でガストログラフィンは拡張した上部小腸内に停滞し,膀胱が明瞭に描出されていた.ガストログラフィンによる消化管造影後の尿路系の描出は,消化管穿孔を示唆する所見であるが,臨床所見から消化管穿孔は否定的であり保存的に経過観察を行い軽快した.通常,消化管内に投与されたガストログラフィンはほとんどが消化管から吸収されることなく通過し,糞便とともに排出される.しかし,穿孔性病変がなくても大量投与,小腸内での停滞,粘膜障害,脱水などの要因が存在すると消化管からの吸収が促進され,血中に移行し尿路系が描出されることを認識しておくべきであると思われた.
  • 石堂 展宏, 水野 憲治, 小川 龍之介, 中川 浩一, 大江 新野, 橋本 雅明
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2459-2463
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    統合失調症で精神科加療中の58歳,男性.突然の右季肋部痛を訴え救急搬送された.腹部X線撮影で小腸niveauを認め,腹部刺傷の既往からイレウスを疑い腹部CT撮影したところ,小腸間膜内に限局したfree airを認め緊急手術となった.開腹すると腹腔内は高度に癒着し回腸に腫瘤を触知した.周囲を剥離すると腸間膜に限局した膿瘍であり近傍の腸管に饅頭の折ぎによる穿孔を認め同部を切除した.術後経過は良好で第14病日退院となった.異物による小腸穿孔は日本では魚骨,欧米では鶏骨などによるものが多く,近年はPTP誤嚥に注意を促す報告もあるが,折ぎのように鈍的かつ軟性異物の場合,腸管穿孔の報告例はほとんどなく軽視されがちである.特に腹部手術後,高齢,精神・脳神経疾患患者などでは,食事の際誤嚥しそうな異物はその性質に係わらず予め除去する配慮が必要である.折ぎによる稀少な小腸穿孔症例を経験したので報告した.
  • 甲斐 敬太, 中野 徹, 児玉 和彦, 中野 龍治
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2464-2467
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は北九州市在住の68歳,男性.胃癌に対する胃全摘術後約3カ月で著しい低栄養および経口摂取不能の状態となり,再入院となった.小腸生検結果で糞線虫症であることが判明し,ただちにthiabendazoleの投与を開始したが,敗血症によるDIC,多臓器不全が進行し,第18病日に死亡した.糞線虫は日本では沖縄県を中心とする南西諸島が浸淫地とされ,ヒトに経皮的に感染する.宿主の免疫能が低下した際には重症化し,死に至ることも少なくない日和見感染症のひとつである.本症例については,沖縄の居住歴はなかったが,15年前に糞線虫症の加療歴があった.糞線虫症は北部九州では稀な疾患であるが,浸淫地に居住歴がなくとも保虫者であることがある.外科術後に,原因不明の激しい下痢,低栄養などがみられた場合は本症の可能性も考慮にいれ,便検査,内視鏡検査など行う必要があると考えられた.
  • 品川 誠, 小竹 優範, 藤森 英希
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2468-2470
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.以前に胃潰瘍に対し幽門側胃切除術 (Billroth I法再建)を施行され,その後腸閉塞のため二度の開腹手術が施行されていた.突然出現した間欠的な腹痛のために入院となった.左下腹部に圧痛を認めたが,腫瘤は触知せず腹膜刺激症状も認められなかった.腹部単純X線検査で小腸ガスの増加と鏡面像の形成を認め,腹部CTで左下腹部に腸間膜血管系を巻き込んだ同心円状の層状構造を認めた.以上より腸重積症と診断し,開腹術を施行した.腸重積の先進部は4×5×3cm大であり,同部を含めた小腸切除術を施行した.先進部は以前の腸閉塞に対する手術時に施行された,空腸側々吻合部であった.成人に発症する腸重積は腫瘍が先進部を形成することが多いが,稀に非解剖学的な腸管吻合が原因となる.本例では吻合部周囲の癒着も腸重積の発症に関与していると考えられ,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 杉下 博基, 岩川 和秀, 加洲 保明, 岡田 憲三, 清地 秀典, 梶原 伸介
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2471-2475
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    成人の腸重積は比較的稀な疾患であり,器質的疾患が原因であることが多い.今回われわれは,回腸末端に発生した脂肪腫が原因となった成人の腸重積3例を経験した.症例1は70歳,男性.腸閉塞症状を主訴に来院.腹部CT検査で腸重積を疑われ手術を施行した.バウヒン弁から約10cm口側に28mm大の腫瘤を認め,脂肪腫と診断された.症例2は73歳,女性. 66歳時に腸閉塞症状を認めており,腹痛,嘔気,嘔吐などの腸閉塞症状を主訴に来院,腹部CT検査で脂肪腫を先進部とする腸重積が疑われた.バウヒン弁から25cm口側に29mm大の腫瘤を認め,脂肪腫と診断された.症例3は79歳,男性.左下腿骨折の治療入院中に便潜血認め,腹部CT検査で右下腹部に脂肪腫の存在と,それを先進部とする腸重積が疑われ,回盲部切除術を行い,脂肪腫と診断された.成人の腸重積においては器質的疾患も念頭に置く必要があり,なかでも脂肪腫は頻度が高く,その診断には腹部CT検査が有用であった.
  • 中村 賢二, 江上 拓哉, 籾井 眞二
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2476-2479
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは腸閉塞にて発症した多発回腸癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.平成14年5月より嘔気と腹痛にて当院受診し腸閉塞の診断で入院となった.腹部CT検査で回腸に腫瘤による狭窄および小腸造影にて全周性の潰瘍性病変を認めた.手術施行すると,バウヒン弁から30cm口側に漿膜浸潤のある腫瘍が認められたが,そのさらに口側に腫瘍が2カ所あった.また,大動脈近傍までリンパ節転移が認められたため姑息的に小腸切除術を行った.全て低分化型腺癌であったが,組織が非常に類似していたため一番大きな腫瘍が原病変であり,その他は転移と考えられた.回腸癌は稀な疾患で,自覚症状が出にくいため進行して見つかることが多い.好発部位はバウヒン弁に近いところのため,早期発見のためには,下部消化管検査のときの回盲部の検索も必要である.また,今回のように多発していることもあるため手術時は小腸全体の検索も必要と思われる.
  • 沖野 秀宣, 鬼塚 幸治, 吉冨 聰一, 渡辺 次郎, 武田 成彰
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2480-2484
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.筑後川流域に約50年前に在住した既往がある.平成16年12月右下腹部痛が出現し近医受診,急性虫垂炎を疑われ当科紹介となった. CTで虫垂および虫垂間膜の肥厚を認め,急性虫垂炎と診断し虫垂切除術を施行した.術後の病理診断で壊疽性虫垂炎と診断されたが,虫垂壁の粘膜下層に多数の日本住血吸虫卵を認めた.虫卵は全て死卵であり, ELISA法を用いた成虫・虫卵両抗原に対する血清抗体価の上昇はみられず,検便で虫卵は陰性,肝腫瘍はみられず肝機能も正常,感染から長期間経過しており虫体は存在しないと判断し駆虫は行わなかった. 1996年に山梨県で終息宣言が出されたのを最後に,国内では中間宿主の宮入貝がほぼ撲滅され国内での感染は1978年を最後に新規の日本住血吸虫症患者は発生していない.しかし近年の日本住血吸虫流行地への海外渡航機会の増加により海外からの輸入例の報告も散見される.手術や生検で得た検体中に日本住血吸虫卵を見出した場合の問診,検査,治療に関するフロー・チャートを作成したので報告する.
  • 鵜瀞 条, 井上 裕文, 五藤 倫敏, 行方 浩二, 三上 陽史, 松本 文夫
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2485-2489
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    2001年1月から2004年12月の4年間に原発性虫垂癌を6例経験した.過去5年間に原発性虫垂癌を5例以上まとめて報告している他の4施設の39症例を加えて計45症例とし,その臨床像,予後について検討した. 45症例の組織型の内訳では腺癌が28例 (62%), 粘液嚢胞腺癌が13例 (29%), その他の癌が4例 (9%) であった.深達度ss以上の症例が38例 (85%) であった.リンパ節転移陽性例は全体の38%であった.組織型別の生存曲線では腺癌,粘液嚢胞腺癌ともに5年生存率は50~60%と推定され,腺癌と粘液嚢胞腺癌の生存曲線に統計学的有意差は認めなかった.
  • 平野 謙一郎, 鈴木 聡, 三科 武, 二瓶 幸栄, 松原 要一
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2490-2494
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸管放線菌症の2症例を経験したので若干の文献的考察を加えこれを報告する.症例1は81歳,女性.腹部腫瘤の精査の結果,横行結腸癌が強く疑われ横行結腸切除術を施行した.開腹所見では腸管外腫瘤により横行結腸が閉塞しており腫瘤の中心に魚骨を認めたため,魚骨の結腸穿孔による炎症性腫瘤と診断した.症例2は31歳,男性.慢性腎不全にて透析中に,右下腹部痛を主訴に来院.右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し急性虫垂炎の診断で手術を施行した.開腹所見では回盲部が炎症により一塊となっていたため回盲部切除を行った.症例1, 2ともに組織診断ではcrub formationを呈する放線菌の菌塊を認め腸管放線菌症と診断した.腸管放線菌症は比較的稀ではあるが腹部腫瘤の鑑別診断として念頭に置くべき疾患であると考えられた.
  • 剣持 邦彦, 濱田 茂, 宗 宏伸, 佐藤 英博, 今村 鉄男, 下河辺 智久
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2495-2499
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    壊死型虚血性大腸炎が腸間膜内に穿破するという,極めて稀な病態をきたした症例を経験した.症例は63歳,女性.下腹部痛を主訴に来院.発熱,白血球増多は認めなかった.第3病日イレウス症状出現したためイレウス管挿入し,一旦症状軽減したが第4病日腹痛増強.逆行性大腸造影を施行したところ横行結腸腸間膜側に造影剤漏出病変を認めた.直後にショック症状を呈したため結腸穿孔と診断し緊急手術を施行した.横行結腸から脾轡曲部にかけての腸間膜内に小手拳大の糞便を貯留する腫瘤性病変を認めたが,明らかな腹腔内への穿孔は認めなかった.結腸部分切除,人工肛門造設術を施行した.病理所見では全周性の粘膜凝固壊死および腸間膜への穿通部を認めた.壊死型虚血性大腸炎は予後不良の疾患であり早期手術が必要であるが,本例は当初腹膜炎所見を呈していなかったために診断に苦慮した.
  • 志村 国彦, 松下 啓二, 島田 良, 荻原 廸彦
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2500-2504
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,中結腸動脈瘤の破裂症例を経験したので報告する.症例は56歳の男性で,腹痛を主訴に緊急入院となった.入院後,出血性ショックとなり,腹腔内出血の診断で緊急手術を行ったが原因は同定できなかった.術後,腹部血管造影で中結腸動脈左枝に動脈瘤が確認され,再手術にて動脈瘤を含めた横行結腸部分切除術を施行した.病理所見ではsegmental arterial mediolysis (SAM) と診断された.術後経過は良好であった.中結腸動脈瘤破裂の本邦報告例は,自験例を含めて30例と極めて少なく,貴重な症例と考えられた.
  • 松本 敦夫, 吉松 和彦, 石橋 敬一郎, 横溝 肇, 成高 義彦, 小川 健治
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2505-2508
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性. 25歳時に子宮内避妊具 (intrauterinedevice: IUD) を挿入, 3~4年に1回交換していたが40歳より放置していた.強い下腹部痛と発熱を主訴に婦人科を受診,腹部CT検査で直腸壁の肥厚と腫瘤像を認め外科に転科し,直腸の炎症性疾患を疑い手術を施行した.子宮前面に膀胱, S状結腸,盲腸が炎症性に強固に癒着し,直腸壁も炎症性に肥厚しており,子宮全摘出術,付属器摘出術,低位前方切除術を行った.切除標本で子宮内腔にIUDを認め,子宮後壁は非薄化し直腸前壁と一塊となっていた.病理組織学的には子宮,右付属器の膿瘍形成が著しく,両者に放線菌の菌塊を認め,子宮放線菌症の炎症の波及による直腸狭窄と診断した.本症は内科的治療で軽快することもあり,原因不明の直腸狭窄には本症も念頭に置く必要があると考える.
  • 廣 純一郎, 井上 靖浩, 渡部 秀樹, 小林 美奈子, 三木 誓雄, 楠 正人
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2509-2513
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    広範なリンパ節転移を伴う進行直腸癌においては,拡大郭清を行っても多くの場合,予後不良で手術単独の成績には限界がある.今回,鼠径リンパ節転移を伴った直腸癌に対し,術前放射線照射を含む集学的治療により良好な経過を呈した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は64歳,男性で右鼠径部の硬結を主訴に来院した.大腸内視鏡検査にて直腸癌と診断し, CT・MRIでは,右鼠径部と骨盤内に多数のリンパ節腫大を認めた.手術単独での治療は困難と判断し,術前補助療法として,鼠径部を照射野に含めた,高線量外照射 (5Gy×4Fr) と, pharmacokinetic modulating chemotherapy: UFT 400mg/日, 5-FU 600mg/m2/24h/週を施行後,側方リンパ節郭清を伴わない腹会陰式直腸切断術を施行した.術後Leucovorinを加えたPMCを施行し,術後3カ月目に鼠径リンパ節腫大は消失し,術後2年11カ月現在, CR継続中である.
  • 岡元 崇, 道井 洋吏, 大野 猛三
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2514-2517
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Budd-Chiari症候群は肝静脈3主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞ないし狭窄を示す疾患である.治療にっいては内科的治療,カテーテル治療,外科的治療があるが,選択については議論のあるところである.今回われわれは下大静脈の膜性狭窄 (web) によるBudd-Chiari症候群に対して低体温併用脳分離体外循環,循環停止法を用いて根治術を行った1例を経験したので報告する.症例は31歳,女性で下大静脈の膜性狭窄によるBudd-Chiari症候群であった.手術は低体温併用脳分離体外循環,循環停止法を用いて経右房的に下大静脈内のwebを切除した.以上の方法により良好な無血術野が得られ, webの遺残もなく根治性の高い治療ができた.
  • 篠藤 浩一, 大島 郁也, 吉村 清司, 庄古 知久, 有我 隆光, 尾崎 正彦
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2518-2523
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    診断に難渋した肝嚢胞の1例を経験したので報告する.
    症例は73歳,女性.右季肋部痛を主訴に当科を受診.腹部超音波検査では内部に蜂巣状の高エコー域が描出された.同部位は腹部CT検査で右葉全体を占める低吸収域として描出された.造影効果は認められなかったが, MRI検査においてT2強調画像で隆起性病変部を認め, ERCPでは右肝内胆管の不整狭窄像が描出されたことから肝嚢胞腺癌を疑い肝右葉切除術を施行した.
    切除標本で内部に蜂巣状の隔壁を有しており,漿液性の液体が貯留していた.病理所見は陳旧性出血を伴った単純性肝嚢胞で悪性所見を認めなかった.単純性肝嚢胞に出血を伴い,凝結塊により画像上嚢胞腺腫や腺癌と鑑別が困難であったものと考えられた.
  • 野田 純代, 越川 克己, 勅使河原 修, 村岡 暁憲, 鈴木 夏生, 田上 鑛一郎
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2524-2528
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性,発熱と右季肋部痛を主訴に当院受診,精査で無石性胆嚢炎と診断され入院.肝内には数個の嚢胞を認め,最大の嚢胞の直径は6cmで, S4に存在した.胆嚢炎に対し抗生物質を投与するも改善せず, PTGBDを施行した.しかしその後次第に肝内胆管拡張の進行を認め閉塞性黄疸が出現したため, PTBDを追加施行した.造影検査で肝門部胆管に圧排性の狭窄を認め, CTでS4の肝嚢胞径の増大を認めた.肝嚢胞の増大に伴う閉塞性黄疸と診断し,開腹胆嚢摘出術および肝嚢胞開窓術を施行した.病理組織学的に嚢胞壁は一層の立方円柱上皮からなり,炎症性細胞の浸潤が認められた.肝嚢胞の増大は,術前挿入したPTGBDあるいは胆嚢からの炎症の波及にともなうものと考えられた.
  • 山本 純也, 岩永 真一, 渕野 泰秀, 石橋 由紀子, 深水 康吉, 城崎 洋
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2529-2534
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.腹部超音波検査にて肝外側区域に隔壁を伴う径21mm大の嚢胞が指摘され,定期的に経過観察していた. 17カ月後の超音波検査にて,嚢胞は径43×25mm大に増大し,嚢胞内に充実性病変を認めた.腹部超音波検査,腹部CT, MRI, 血管造影検査にて肝嚢胞腺癌と診断された.手術は肝外側区域切除術,胆嚢摘出術が施行された.摘出標本では,腫瘍は境界明瞭な多房性嚢胞性病変で,内部は多房性褐色粘液で満たされており,一部に内腔方向に発育する白色調の乳頭状病変を認めた.病理組織検査では,嚢胞壁は円柱上皮で構成された肝嚢胞腺癌で,嚢胞内腔の乳頭状病変は構造異型,核異型を認め肝嚢胞腺癌と診断された.肝嚢胞の経過観察中,画像検査にて肝嚢胞腺癌と診断し嚢胞完全切除を行った肝嚢胞腺癌の1例を経験したので臨床病理学的検討に文献的考察を加え報告する.
  • 住吉 辰朗, 三好 信和, 前田 佳之, 布袋 裕士, 田原 浩, 小林 弘典
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2535-2539
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性.右季肋部痛を主訴に来院し,腹部超音波検査,造影CT検査にて胆嚢壁の著明な肥厚を認め急性胆嚢炎が疑われた.同日入院,保存的治療を開始したが,強い腹痛が続くため,入院後4日目に緊急的に腹腔鏡下手術を行ったところ胆嚢は頸部で360度回転しており,完全型胆嚢軸捻転による壊死性胆嚢炎と診断された.
    自験例の造影CT検査をretrospectiveに考察したところ,胆嚢は肝床部に接し,胆嚢壁の全周性肥厚を認め,壁内血管は一部造影されていた.よって,術前,胆嚢は肝床部と接し胆嚢壁内血流も維持されていると考え胆嚢軸捻転症を否定した.しかし,これは捻転により静脈系は閉塞したが,血管内圧の高い動脈系はその一部が開存し造影されたためであり,胆嚢腫大軽度なわりに著明な全周性壁肥厚は静脈閉塞に伴ううっ血が原因と考えられた.
  • 伊藤 勝彦, 石井 隆之, 大多和 哲, 清水 善明, 近藤 英介, 小川 清
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2540-2543
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    出血性胆嚢炎は比較的稀な疾患である.今回われわれは胆嚢結石の経過観察中に胆嚢内出血を診断して手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.右季肋部痛,鮮血便により来院し入院となった.腹部超音波検査では胆嚢壁の均一性肥厚および胆嚢内の拍動性エコー像を認めた.また腹部造影CT検査では胆嚢内に点状に造影される部分を認めた.以上より胆嚢炎による胆嚢出血と診断して緊急入院とし,その後に進行性の貧血をきたしたため緊急開腹胆嚢摘出術を施行した.術中,胆嚢内から拍動性の出血を認めた.摘出胆嚢の病理診断は壊死性胆嚢炎であり悪性所見は認めなかった.術後,上行結腸皮膚瘻を認めたが絶食,中心静脈栄養による保存的治療にて閉鎖して退院となった.胆嚢出血においては診断が困難なことが多いが,迅速な診断が必要なことが多く,今症例では造影 CT と超音波検査により迅速に診断して,早急に手術することができた.
  • 中山 隆盛, 森 俊治, 白石 好, 磯部 潔
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2544-2548
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    気腫性胆嚢炎の臨床病理学的特徴を明らかにするため, 2000年1月より2005年1月までにCT診断された気腫性胆嚢炎5例を検討した.平均年齢は63 (56~69) 歳,男性3例,女性2例であった.X線写真所見より胆嚢内ガス像が診断できた症例は2例,US所見は1例だけであった.CTではさらに,胆嚢壁内ガス像2例,胆嚢周囲ガス像1例,胆管ガス像4例が認められた.気腫性胆嚢炎の全例に対して, PTGBDが行われ待機的手術が行われた.胆嚢内結石は全例に認められ,総胆管結石は2例に認められた.胆汁培養の結果はClostridium perfringens 4例, Esherichia coli 2例, Plesiomonas shigel-Ioides 1例であった.病理組織学的診断は全例が壊疽性胆嚢炎であった.気腫性胆嚢炎は重症胆嚢炎であるため,迅速な対応が必要であると考えられた.
  • 金 啓志, 森藤 雅彦, 佐々木 秀, 横山 雄二郎, 村上 義昭, 末田 泰二郎
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2549-2552
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    マントル細胞リンパ腫 (MCL) は非ホジキンリンパ腫全体の3~10%を占め,リンパ節を中心として,高頻度に種々の節外臓器を侵す成熟型B細胞リンパ腫である.今回われわれは肝機能障害を契機に総胆管狭窄を呈する腫瘤が発見され,数回の細胞診や生検を施行したが確定診断を得られず,術後病理にてMCLと診断された症例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.食欲低下のため近医を受診したところ,肝機能異常を指摘され,当院紹介.腹部CT検査にて膵頭部~上部胆管周囲に下大静脈を圧迫する腫瘤を認め,胆管狭窄を呈していた.胆汁細胞診,胆管生検を施行したが悪性所見を得られず.エコーガイド下経皮的生検でも確定診断を得られなかった.術中迅速病理でも悪性所見なく,胆管狭窄に対し胆管空腸吻合術を施行した.術後MCLと診断され,リッキシマブ併用THP-COP療法を1クール施行し,腫瘍の縮小を認めた.
  • 藤井 雅和, 沖野 基規, 藤岡 顕太郎, 山下 勝之, 濱野 公一
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2553-2557
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の男性で,主訴は吐血・下血.焼酎11/日を約30年間の大酒家で,吐血・下血のため,平成15年3月3日当院内科に入院した.出血性胃潰瘍の診断のもと,内視鏡的止血術が施行された.平成15年3月27日に再吐血し,胃内視鏡検査で,胃粘膜下腫瘍からの出血と診断された.再出血の可能性が高く,早期の外科的治療が望まれたため,平成15年4月10日に手術が施行された.術中内視鏡検査で,噴門直下の後壁に隆起性病変が認められ,噴門側胃切除術を施行することとした.胃底部後壁の処理を行っていた際,腫瘍壁の一部が破れて内部より暗赤色の混濁した漿液が排出された.内部に,胃の漿膜は残存しており,胃外部の病変であり,仮性膵嚢胞と診断した.術後経過は良好で,退院後も吐血などの症状は認めていない.吐血を契機に発見された,胃粘膜下腫瘍類似所見を呈した仮性膵嚢胞の1例を経験したので報告した.
  • 大石 康介, 落合 秀人, 柏原 貴之, 山本 尚人, 大石 俊明
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2558-2563
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.平成14年7月,検診にて肝酵素の軽度上昇あり超音波検査を施行し,脾内に最大径50mm迄の多発嚢胞を認めた.以後画像検査で経過観察され,増大傾向は認めなかった.平成15年4月,左上腹部痛を主訴に来院し,腹部超音波検査で脾臓に接する後腹膜側に血腫を認めたが,このとき特に外傷,打撲などはなかった.腹部造影CTでは脾門部に平成14年12月のMRIに比べ増大した脾嚢胞と嚢胞内出血を認め,脾被膜下の出血がみられた.特発性脾嚢胞破裂と診断し,翌日のCTで病変部の悪化はなく保存療法としたが,腹痛の増悪があり,開腹下に手術を施行した.脾被膜下の血腫は膿瘍状の腔を形成し,脾門部から後腹膜,膵尾部に繋がっており,膵尾部との剥離は困難であった.このため術式を脾摘,膵尾部切除とした.病理組織診断では,脾嚢胞は膵由来の仮性嚢胞であった.本症例は慢性膵炎による脾内膵仮性嚢胞が脾臓に穿破して脾破裂を起こしたと考えられた.
  • 安岡 康夫, 吉田 敦, 佐伯 隆人
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2564-2568
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    特発性副腎出血は非常に稀な疾患であり,後腹膜原発腫瘍との鑑別が困難であるとされている.今回われわれは巨大な後腹膜腫瘤にて発見され外科的切除を行った1例を経験したので報告する.患者は56歳,男性.腹部膨満感および左上腹部から背部痛を主訴に来院.諸検査にて巨大な非充実性嚢胞性後腹膜腫瘍と診断した.術前確定診断はできなかったが,悪性である可能性が否定できないこと,また患者の痔痛も強かったことから外科的切除を行った.開腹所見は左腎を尾側,脾を腹側頭側,膵を腹側に圧排する最大径20cmの巨大な嚢胞状腫瘍で内部にはフィブリン塊および淡血性の液状成分が充満していた.切除腫瘍重量は1,440gであった.切除標本病理組織結果は特発性副腎出血であり,悪性所見は認めなかった.術後経過は良好で術後3カ月現在再発の徴候は認めていない.
  • 田中 肖吾, 田中 宏, 首藤 太一, 竹村 茂一, 山本 隆嗣, 久保 正二
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2569-2572
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性.慢性B型肝炎と肝S7腫瘍に対する経過観察中, 2004年12月のCT像上,同腫瘍径が軽度増大した.副腎皮質ホルモン亢進に伴う症状はなく,血液検査上軽度の肝機能障害が認められるのみであった.単純CT像上,径1.6cm大の境界明瞭な低吸収像, dynamic CT早期相において淡く濃染され,晩期相において造影剤はwash outされていた.右肝動脈造影下CTでは腫瘍の大部分は高吸収域として描出された.以上より肝細胞癌と診断,開腹したところ,右副腎は腫瘍と周囲肝実質と強固に癒着していたため,右副腎合併肝部分切除を施行した.腫瘍割面は径1.6cm,黄色調で被膜は認めないものの周囲との境界は明瞭であった.組織学的に腫瘍は副腎と連続性があり肝を圧排していた.脂肪滴を含んだ泡沫状の明るい胞体をもつ淡明型細胞が認められ,副腎腺腫と診断された.肝内に存在するように描出され,肝動脈から栄養されていたため肝細胞癌との術前鑑別が困難であった副腎非機能腺腫例であった.
  • 坪井 俊二, 岡田 禎人, 柴原 弘明
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2573-2576
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳の男性.発熱と右背部痛を主訴に近医から当院に紹介入院となった.腹部CTで肝膿瘍,右腸腰筋膿瘍と診断し,肝膿瘍に対してエコーガイド下穿刺ドレナージを行い,腸腰筋膿瘍は腰椎麻酔下手術にて後腹膜経路にドレナージを行った.経過良好にて4週間で退院したが, 3カ月後に右腸腰筋膿瘍が再発したため, CTガイド下穿刺を行いドレナージチューブを留置した.ドレナージチューブからの造影で上行結腸が造影され,大腸内視鏡検査時のドレナージチューブからのインジゴカノレミンの注入により,虫垂孔からのインジゴガルミンの流入を確認できた.以上より虫垂炎に続発した腸腰筋膿瘍であると診断し,虫垂切除術を行うことにより根治できた.急性虫垂炎に続発した腸腰筋膿瘍は腹部所見に乏しく虫垂炎が原因疾患であるという診断は必ずしも容易ではないが,自験例では膿瘍ドレナージチューブから注入した色素を大腸内視鏡で確認することで正確な診断が可能であった.
  • 衣笠 和洋, 大久保 琢郎, 神村 和仁
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2577-2581
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,男性. 1週間前からの右下腹部痛を主訴として入院した.腹部CTで上行結腸の内側に隣接して存在する低吸収域の腫瘤陰影を認め,辺縁部に軽度の造影効果がみられた.虫垂炎または結腸憩室炎による腹腔内膿瘍の診断下に開腹手術を行ったところ,上行結腸問膜に5×4×4cmの血腫が認められた.出血原因が不明で再出血も懸念されたため,血腫を含めて回盲部切除術を施行した.病理組織検査では,血腫とその周囲に肉芽組織がみられたが,腫瘍や血管病変は認められなかった.腹部外傷,抗凝固療法,血管性疾患の既往がないことから,特発性腸間膜血腫と診断した.自験例の場合,血腫が比較的小さく,全身状態も安定していたことから, CTで腸間膜血腫と診断できていれば,血管造影で動脈瘤破裂を否定した上で,保存的治療あるいは血腫除去術にとどめることが可能であったと思われる.
  • 渡邉 泰治, 木村 加奈子, 佐藤 良太郎, 狩俣 洋介, 月川 賢, 窪田 倭
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2582-2586
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.突然の腹痛と下痢で発症.下腹部を中心にBlumberg徴候を伴う圧痛あるも筋性防御は認められなかった.腹部造影CT検査で上腸間膜動脈根部から約2cmの部位に動脈解離を疑わせる内腔の線条構造が認められた.その3cm遠位側に完全閉塞を認めた.遠位空腸から回腸にかけて広範囲に腸管の壁肥厚と腸管の造影効果が不良で広範囲の小腸虚血を疑わせる所見があった.手術所見は,トライツ靱帯から約50cmの空腸から末梢へ60cmにわたりやや浮腫状の腸管壁の肥厚を認めた.しかし腸管壁の色調は保たれており強い虚血を示唆する所見は認められなかった. SMAの拍動は確認できなかったが虚血所見がないために腸管への血流は保たれていると判断し腸切除はせず閉腹した.術後半年の造影 CT では解離腔は真腔では血流は保たれており,偽腔では血栓が形成され血管径の拡大は認められなかった.大動脈解離を伴わない上腸間膜動脈解離は本邦では1989年から2005年まで31例が報告されているのみである.大動脈解離を伴わない上腸間膜動脈解離を経験したので報告する.
  • 安村 友敬, 赤池 英憲, 梶 理史, 野方 尚, 矢川 彰治, 小澤 俊総
    2005 年 66 巻 10 号 p. 2587-2592
    発行日: 2005/10/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,開腹術後早期に腸間膜脂肪織炎による腸閉塞を生じた2症例を経験した.(症例1) 52歳,男性.平成15年12月25日S状結腸癌に対して高位前方切除を施行した.術後7日目,創部硬化が出現し, 11日目,嘔吐あり,腹部CT検査後に診断された.デキサメタゾンの投与を開始し,治療開始後28日目に治癒した.(症例2) 54歳,男性.平成16年8月11日直腸癌に対して高位前方切除を施行した.術後8日目嘔吐が出現,同様に創部は硬く,腹部CT検査で診断された.デキサメタゾンの投与を開始し,治療開始後24日目に治癒した.腸間膜脂肪織炎は原因不明の非特異性炎症性疾患であり,比較的稀な疾患とされてきたが,近年その報告例は増加している.しかしながら開腹手術後早期に本症を発症した報告例は少なく,本邦で18例であった.本稿では自験例の経過を報告するとともに,本邦報告例と併せ,その臨床像について検討する.
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