日本臨床外科学会雑誌
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興味深いCT画像所見を呈した完全型胆嚢軸捻転の1例
住吉 辰朗三好 信和前田 佳之布袋 裕士田原 浩小林 弘典
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2005 年 66 巻 10 号 p. 2535-2539

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抄録

症例は35歳,女性.右季肋部痛を主訴に来院し,腹部超音波検査,造影CT検査にて胆嚢壁の著明な肥厚を認め急性胆嚢炎が疑われた.同日入院,保存的治療を開始したが,強い腹痛が続くため,入院後4日目に緊急的に腹腔鏡下手術を行ったところ胆嚢は頸部で360度回転しており,完全型胆嚢軸捻転による壊死性胆嚢炎と診断された.
自験例の造影CT検査をretrospectiveに考察したところ,胆嚢は肝床部に接し,胆嚢壁の全周性肥厚を認め,壁内血管は一部造影されていた.よって,術前,胆嚢は肝床部と接し胆嚢壁内血流も維持されていると考え胆嚢軸捻転症を否定した.しかし,これは捻転により静脈系は閉塞したが,血管内圧の高い動脈系はその一部が開存し造影されたためであり,胆嚢腫大軽度なわりに著明な全周性壁肥厚は静脈閉塞に伴ううっ血が原因と考えられた.

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