日本臨床外科学会雑誌
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肝細胞癌術後に異時性小腸転移を認めた1例
佐々木 貴浩竹中 能文内田 智夫佐藤 宏喜古内 孝幸佐久間 正祥堀 眞佐男
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2005 年 66 巻 11 号 p. 2725-2729

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抄録
症例は82歳,男性.主訴は黒色便,貧血. 2年前,肝細胞癌の診断で前区域切除,横隔膜合併切除術を施行した既往がある.今回,黒色便とヘモグロビン5.89/dlまで低下する貧血を認め,輸血目的で入院をした.上部,下部内視鏡で異常所見を認めなかった. CT所見で右下腹部に内部不均一で造影効果のある充実性腫瘍を認め,残存肝に腫瘤性病変は認めなかった.出血シンチグラムで,同部位に集積を認め,手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯より30cm肛門側で小腸間膜側より発生しており, 6.0×6.0×6.0cmの軟性な腫瘍であった.小腸部分切除術を施行した.病理ではmetastatic hepatocellular carcinoma in the small intestineで小腸筋層直下より発生しており,肝細胞癌からの小腸転移と診断した.術後経過は良好で術後15カ月を経過した現在,再発の所見認めず外来通院中である.
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