日本臨床外科学会雑誌
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潰瘍を伴った食道平滑筋腫の1手術例
神宮 彰稲沢 慶太郎石山 智敏松本 秀一
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2005 年 66 巻 2 号 p. 355-359

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抄録

食道平滑筋腫は食道良性腫瘍のうちでは最も頻度の高い疾患であるが,画像診断の発達した今日においても平滑筋肉腫との鑑別は困難であり,粘膜下腫瘍の内視鏡的生検での良悪の診断も困難であると言われている.悪性を示唆する所見としては,潰瘍の形成,腫瘍の増殖速度が速いことなどが挙げられる.
今回われわれは,潰瘍形成を伴った稀な食道平滑筋腫を経験した.
本症例は,腫瘍サイズおよび内視鏡的生検からは良性の平滑筋腫と考えられたが,腫瘍頂部に潰瘍を伴っていたため悪性の可能性もあり,手術適応と判断した.
手術は,本症例の場合,腫瘍が粘膜筋板由来であり,頂部に潰瘍形成もあったこともあり,腫瘍を含めた食道壁の模状切除をVATSにて行った.食道粘膜下腫瘍のVATS手術は,内視鏡下にバルーンを用いて腫瘍を突出させることが重要なポイントであるが,本症例のように腫瘍が小さい場合には,特に内視鏡担当医師との密な連係が必要である.

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