日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
非外傷性の腸間膜出血にて発症したsegmental arterial mediolysis (SAM)の1例
宮下 篤史谷口 史洋池田 栄人栗岡 英明細川 洋平竹内 義人
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 66 巻 2 号 p. 426-431

詳細
抄録

SAMは腹部大動脈から分岐する臓器動脈に動脈瘤が多発し,破裂する疾患である.今回われわれは腸間膜出血をきたしたSAMの1例を経験したので報告する.症例は59歳男性.腹痛にて救急外来受診.血液検査では貧血と炎症所見を認め, CTでは腸間膜血腫を認めた.腹部血管造影では上腸間膜動脈分枝に動脈瘤を20個認め,右結腸動脈に破綻した血管像が認められた.活動性の出血所見は認めなかったが,同領域の腸管虚血が疑われた.以上から右結腸動脈瘤破裂により血腫を形成し,また腸管壊死の可能性があると考え緊急手術を施行した.腸間膜に小児頭大の血腫を認め,血腫から流出する腹腔内出血を認めた.腸管に虚血性変化を認め,右半結腸切除を行った.病理所見では腸間膜動脈血管の中膜が変性をきたしておりSAMと診断した.1年経過した現在,再破裂認めず健在である. SAMは急性腹症の鑑別に際し念頭に置くべき疾患であると考えられる.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top