日本臨床外科学会雑誌
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GISTの悪性度評価にFDG-PETが有用であった1例
金澤 寛之本坊 健三二渡 久智
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2005 年 66 巻 4 号 p. 832-836

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抄録

患者は73歳女性.心窩部痛を主訴に当院入院となった.腹部造影CTで胃穹窿部後壁大彎側寄りに直径5cm大の腫瘤性病変を認めた.胃間葉系腫瘍が最も疑われ, FDG-PETではSUV (standardized uptake value) 最大値が9.9と高値を示した.悪性度が高い間葉系腫瘍の診断で胃楔状切除術を行った.摘出標本は55×50×45mmの内部充実性の腫瘍で内部に壊死巣は認めなかった.病理所見では,紡錘形の細胞で構成され,核異型が強く細胞密度は中等度であった. KIT, CD34, S-100 proteinが陽性. SMA, desmin, HHF35は陰性であった. Ki-67indexは10%と高値を示した.病理所見においてもFDG-PETによる術前評価と同様に高悪性度のGISTと診断された. FDG-PETは術前に非侵襲的な方法でGISTの悪性度を推察し得る検査法であり,治療戦略を考える上で有用な情報を提供し得ることが示唆された.

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