2005 年 66 巻 4 号 p. 921-925
症例は64歳,男性.黄疸を主訴に近医受診し,腹部CTにて肝内胆管拡張を認めPTBDを留置し,肝門部胆管癌の疑いで当院紹介となった.入院後減黄不良のため十分なドレナージを行い,あわせて胆管生検を施行した.生検の結果は血管炎のみで悪性所見は認めなかった.血液検査上,著明な好酸球, IgE上昇を認め,また既往歴に喘息発作があることよりChurg-Strauss症候群を疑い,胆管狭窄はその随伴病変と考えられた.しかし肝門部胆管癌は否定できず手術も考慮したが,肺炎,胆管炎による高熱のため全身状態が悪化し内科的治療とした.ステロイドの開始により胆管狭窄は徐々に改善され,ドレナージチューブも抜去でき,ステロイドを斬減した. Churg-Strauss症候群により胆管狭窄をきたした報告はなく,若干の文献的考察を加えて報告する.