症例は17歳,女性.咳嗽・頭痛・微熱を主訴に近医を受診した.薬物療法を受けるも改善せず,胸部X線で右下肺野に腫瘤像を認められ,川崎医科大学呼吸器内科に精査目的にて入院した.気管支鏡検査で,悪性小円形細胞腫瘍と診断.遠隔転移なく,腫瘍増大につれ閉塞性肺炎を合併したため,当科(胸部心臓血管外科)へ転科し手術となった.腫瘍は8cm大でS7から生じ,一部中葉に浸潤また横隔膜にも癒着していた.右中下葉切除,リンパ節郭清を施行した.病理診断はPNETであった.術後は微熱が持続し,体力が回復せず呼吸器内科に転科したものの化学療法も施行せずに退院した.術後2カ月で微熱に加え背部痛が出現し,呼吸器内科に再入院した.右側に胸水を伴い,その細胞診でclass VのPNET再発と診断され,化学療法・放射線療法を施行したが効果なく,癌性心膜炎を併発し,術後5カ月で永眠した.