日本臨床外科学会雑誌
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急性虫垂炎として発症した虫垂好銀性カルチノイドの1例
佐野 佳彦山川 知洋佐々木 学
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1660-1664

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抄録

急性虫垂炎で発症し,病理学的検索で虫垂好銀性カルチノイドと診断した症例を経験した.症例は36歳女性.下腹部痛を主訴に入院した.右下腹部に筋性防御を伴う圧痛を認めたが,入院2日目に理学的所見,炎症所見ともに増悪したため,急性虫垂炎として,虫垂切除術を施行した.病理組織学的には,虫垂粘膜下層を主座に,球状で,粗大なクロマチンを有し,比較的均一な核を有する細胞のシート状,胞巣状,一部索状の増生がみられ,腫瘍細胞はchromogranin A染色陽性, Grimelius染色陽性, Fontana-Masson染色陰性であり,虫垂好銀性カルチノイドと診断した.組織学的に断端陽性であったため, 55日後に追加切除(回盲部切除)を行ったが,摘出標本に腫瘍細胞はみられなかった.術後1年4カ月の現在再発の徴候はみられない.虫垂好銀性カルチノイドは極めて稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.

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