日本臨床外科学会雑誌
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甲状腺髄様癌術後肝転移に対し肝動脈化学塞栓療法が有効であった1例
滝沢 宏光中野 基一郎監崎 孝一郎駒木 幹正森本 忠興丹黒 章
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1709-1712

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抄録

甲状腺髄様癌術後の肝転移に対し肝動脈化学塞栓療法を施行し,以後2年間腫瘍マーカーの上昇なく病状コントロールできている症例を経験したので報告する.患者は女性. 14歳時に甲状腺髄様癌(pT2bN1bM0)にて甲状腺全摘術とD3a郭清を施行した. 17歳の頃からCEA,カルシトニン値が徐々に上昇したため種々の画像診断を行ったが再発,転移巣は明らかでなかった. 22歳時の造影CTで肝内に造影早期相で濃染する1.5cm大までの結節影を多数認め,腫瘍マーカーはCEA 852.9ng/ml,カルシトニン12,100pg/mlまで上昇していた.これらの病変に対し動脈化学塞栓療法を計3回施行した.以後2年経過するが肝の結節影に増大傾向は認めず,腫瘍マーカーはCEA 577.5ng/ml,カルシトニン6,400pg/mlとピーク時より低下したレベルで横ばいとなっており健在である.

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