日本臨床外科学会雑誌
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完全内臓逆位症に穿孔性腹膜炎で発症した小腸悪性リンパ腫の1例
菅野 雅彦新村 光司柳沼 行宏渡部 智雄坂本 一博鎌野 俊紀
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2005 年 66 巻 8 号 p. 1945-1949

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抄録

完全内臓逆位症に穿孔性腹膜炎で発症した小腸悪性リンパ腫の1例を経験した.
症例は70歳,女性.主訴は,腹痛.既往歴は,幼少時より完全内臓逆位症を指摘されていた.現病歴は,数年前の9月15日,腹痛出現にて当院受診.腹部単純X線検査で腹腔内遊離ガス像を認め,同日,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行.穿孔部は,回腸末端部より80cm口側の回腸に認められ,穿孔部および小腸壁の脆弱した部位を含めた小腸切除と腹腔洗浄ドレナージを施行した.術後病理組織学的検査により非ホジキン悪性リンパ腫, diffuse large B-cell typeと診断された.腹膜炎の侵襲から脱却し同年11月18日,退院.全身状態の回復を待ち,術後多剤併用化学療法を8クール施行した.経過良好であったが,手術3年後の10月上腸間膜動脈血栓症にて死亡した.
完全内臓逆位症に併存した小腸悪性リンパ腫の報告例はなく,本症例が本邦初発例と思われ報告した.

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