日本臨床外科学会雑誌
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胃全摘Roux-Y再建術後のloop小腸粘膜に腺腫内腺癌を認めた非定型Cronkhite-Canada症候群の1例
加藤 俊二内藤 善哉奥田 武志木山 輝郎徳永 昭田尻 孝
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2006 年 67 巻 1 号 p. 107-111

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抄録

胃全摘後のRoux-Y再建法で,挙上した小腸loop内に癌を認めることは極めて稀である.今回, 57歳女性で (1)loop内小腸の粘膜内癌, (2)食道空腸吻合部の漉Helicobacter pylori陽性異所性胃粘膜と過形成性ポリープ, (3)loop盲端側小腸の過形成性粘膜増生が認められた.本症例は病理学的にポリープの形態はCronkhite-Canada症候群の特徴を有するが,病歴で異時性多発癌があり,臨床的にはsporadicな (Cowden病型)若年性ポリポーシスを疑い遺伝子検索したところ,PTEN遺伝子異常を伴っていた.そこで本症例を非典型例Cronkhite-Canada症候群と診断した.胃全摘後の100p内小腸癌は,頻度は少ないものの,非定型ポリポーシス症例における多重複癌症例や,本例のような特異な経過を取る症例では, PTEN遺伝子を含む遺伝子異常の検索とともに,定期的な上部および下部内視鏡検査の観察が異時性癌発見のために必要と考えられた.

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