日本臨床外科学会雑誌
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肺癌膵転移の1切除例
狩野 孝水島 恒和位藤 俊一水野 均尹 亨彦岩瀬 和裕
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2006 年 67 巻 1 号 p. 172-177

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抄録

症例は43歳,男性. 2002年10月,右肺癌(低分化腺癌)で右肺上葉切除術・胸壁合併切除術を施行した.術後経過観察中, 2004年1月からCEAの上昇を認めた.同年10月にはCEA 37.3ng/mlとさらに上昇が続いたため, FDG-PET検査を施行したところ膵尾部に集積像を指摘された.腹部CT検査では膵尾部にFDG-PET検査と一致して径25mm大の低吸収域を認めた.他部位には病変を認めなかった.原発性膵癌あるいは肺癌膵転移を疑い, 2004年12月に左手補助腹腔鏡補助下膵体尾部切除術を施行した.切除標本では膵尾部に25×15mm大の白色充実性,境界明瞭な腫瘤を認めた.病理組織学的検査では低分化型腺癌であった.免疫染色の結果, TTF-1陽性,肺サーファクタントも一部で陽性であったため,肺癌膵転移と診断した,肺癌の膵転移は過去本邦において4例が報告されているに過ぎず,文献的考察を加えて報告する.

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