日本臨床外科学会雑誌
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胃癌手術後中心静脈カテーテル菌血症に起因したと考えられた化膿性脊椎炎の2例
野中 健太郎岩瀬 和裕位藤 俊一水野 均水島 恒和
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2006 年 67 巻 1 号 p. 192-196

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抄録
胃癌術後の中心静脈カテーテル菌血症に起因したと考えられた化膿性脊椎炎の2例を経験した.症例1は79歳の男性で幽門側胃切除術と肝部分切除術を施行,縫合不全のため中心静脈カテーテルを挿入した.挿入後53日目に39.1°Cの発熱を認め,カテーテルを抜去し解熱を確認した.抜去後2日目から腰背部痛が出現, 3カ月後に腰背部痛の増悪と歩行困難を認め化膿性脊椎炎と診断された.症例2は86歳の男性で幽門側胃切除術を施行,術後経口摂取不良のために中心静脈カテーテルを挿入した.挿入後23日目に38.9°Cの発熱を認め,カテーテルを抜去し解熱を確認した.抜去後7日目に腰痛が出現し化膿性脊椎炎と診断された. 2例とも動脈血培養で菌血症の起炎菌を確認した.化膿性脊椎炎の起炎菌である可能性が高いと判断し保存的治療にて軽快退院した.カテーテル菌血症後に腰痛を認めた場合,化膿性脊椎炎を念頭に置く必要があると考えられた.
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