日本臨床外科学会雑誌
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腹部CT検査にて術前診断した大網裂孔ヘルニアの1例
中島 裕一橘 球山口 恵実小野田 敏尚下条 芳秀内田 正昭
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2006 年 67 巻 10 号 p. 2490-2493

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抄録

大網裂孔ヘルニアは,比較的稀な疾患であり術前診断も困難であるが,腹部CT検査により術前診断しえた症例を経験したので報告する.症例は78歳,女性.意識混濁により救急車にて搬入された.開腹既往なし.入院後より腹部膨満を認め,腹部CT施行したところ,腹水および右上腹部結腸の腹側に液体貯留を伴う拡張した小腸,さらに腸間膜の集束像を認め,大網裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと判断し,緊急開腹手術を施行した.小腸はTreitz靱帯から約120cmの部位より大網裂孔内を通過し,約160cmにわたり壊死していたため,同部位を切除し,小腸ストマを造設した.全身状態改善した後,人工肛門閉鎖術施行し,軽快退院となった.開腹歴のないイレウス症状を呈した場合,本症も念頭に置き,腹部CT検査にて臓器の位置関係,腸間膜の集束像の有無を確認することが重要であると考えられた.

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