2006 年 67 巻 12 号 p. 2805-2809
症例は39歳,男性.平成16年8月,検診時左胸部異常影を指摘され,胸壁腫瘍の診断で当院を紹介された.胸部CTでは前胸壁から胸腔内に向かって突出する辺縁整,境界明瞭で内部均一な4cm大の腫瘤影を認めた.胸部MRIでは腫瘤はT1, T2強調像とも筋肉よりややhigh intensityを示し, Gd造影で造影効果を認めた.また,胸壁の構造が正常で腫瘍の呼吸性変動を認めたため臓側胸膜由来のsolitary fibrous tumor (SFT)を疑い,平成17年3月胸腔鏡下に手術を施行した.腫瘍は左肺上葉,舌区外側の臓側胸膜から有茎性に発生しており,左肺を一部合併切除して腫瘍を摘出した.組織学的に腫瘍は紡錘形細胞が錯綜して増殖しており,臓側胸膜発生のSFTと診断した. SFTは間葉組織由来の比較的稀な腫瘍であり,若干の文献的考察を加えて報告する.