日本臨床外科学会雑誌
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左横隔膜下膿瘍-気管支瘻再発例に対する左肺下葉切除術の1例
横尾 直樹長田 博光田中 善宏堀江 祐子吉田 隆浩北角 泰人
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2006 年 67 巻 3 号 p. 597-601

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抄録

症例は62歳,男性.主訴は発熱・湿性咳漱. 2002年1月,早期胃癌・両側副腎腫脹に対し幽門側胃切除術・左副腎摘出術施行後,左横隔膜下膿瘍を合併したが経皮的ドレナージにより軽快した. 2004年2月,左横隔膜下膿瘍-気管支瘻を発症したが,切開ドレナージ・気管支充填術により軽快した.同年6月,新たに診断された骨髄異形成症候群に対する化学療法開始を契機に,左横隔膜下膿瘍-気管支瘻再発および左肺下葉肺炎を併発したため,同年8月に左肺下葉切除術兼瘻孔合併切除術を施行した.術後8週目より化学療法を再開し,手術3カ月後の11月に退院となった.自験例では,骨髄異形成症候群に対する化学療法継続を可能とするために,瘻孔部を含めた病巣部分の一括切除による根治を図った.左横隔膜下膿瘍-気管支瘻の治療法として,気管支充填術施行後の再発例など治療抵抗性の症例に対しては,肺葉合併切除術も選択肢の一つとなりうると考え報告した.

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