2006 年 67 巻 6 号 p. 1181-1185
食道胃静脈瘤に対する開胸経横隔膜アプローチのHassab手術(TTP)と開腹によるHassab手術(AP)との比較検討を行ったので報告する. 2000年から2003年までに施行したTTP群13例を対象としてAP群22例と比較した.手術時間はTTP群で有意に延長していた.出血量と輸血量はTTP群で有意に少なかった.摘出脾重量は両群間に差はなく巨脾による経横隔膜的手技の制約はなかった. TTP群では3例23.1%に中等度の合併症が認められたが両群とも重篤なものはなく合併症発生率に差はなかった.術後在院日数は平均31日でTTP群が短い傾向であった.肝機能に与える影響を総ビリルビン値の推移で比較したが差は認められなかった.侵襲の程度の比較として白血球数とIL-6の変動を検討したが比較的軽度と考えられた.術後5年累積再発率はTTP群が9.1%でAP群の22.3%よりやや低かった.開胸経横隔膜的手技によるHassab手術は開腹による手技と比べ安全で治療効果の改善が期待できる術式と考えられた.