日本臨床外科学会雑誌
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右腰背部痛にて発症した虫垂炎続発筋膜後腔膿瘍の1例
細野 俊介小坂 博久
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キーワード: 虫垂炎, 筋膜後腔膿瘍, 穿通
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2006 年 67 巻 8 号 p. 1815-1819

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抄録
症例は71歳,女性.歩行時の右腰背部痛と右大腿部痛を主訴に当院整形外科を受診し,湿布薬,鎮痛剤にて経過観察されていたが,約3カ月後に発熱が出現し腰背部痛が急性増悪した.腹部CTにて右腰背部膿瘍を認めたため,当科へ紹介,同日入院となった.右腰背部膿瘍に対し,局所麻酔下に切開ドレナージを施行したところ便臭を伴う褐色の膿汁が噴出したため,消化管との交通が示唆された.大腸内視鏡検査時に虫垂開口部前からガストログラフィン造影を施行したところ,虫垂と膿瘍腔の交通が確認されたため,虫垂炎に続発した筋膜後腔膿瘍と診断し,虫垂切除術を施行した.術中所見では虫垂が後腹膜に癒着し,〓孔を形成していた.虫垂炎に続発した筋膜後腔膿瘍は腹部所見に乏しく診断に苦慮する場合も多いが,自験例では膿瘍ドレナージにて症状が軽快し,術前に原疾患を診断することができたため,経過・治療につき若干の文献的考察を加えて報告する.
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