日本臨床外科学会雑誌
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肺のみに病変が認められた悪性黒色腫の1切除例
坂野 尚加藤 智栄岡 和則原田 昌和河野 和明
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2048-2051

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抄録

51歳,男性.喫煙40本/日×30年. 2004年2月の検診で胸部X線写真上,異常を指摘され, 5月に当院を受診.胸部CT上左肺S9に2.8cm,右肺S9に1.5cmの結節影を認め,増大傾向にあった.気管支鏡検査では可視範囲に異常を認めなかった. 7月,右の腫瘍に対するCT下生検により肉腫が疑われた.肺多発であり,転移性肺腫瘍が疑われたが,諸検査で肺以外の病巣は同定されなかった.原発性肺肉腫を疑い,診断・治療目的に手術を行った. 8月に右肺部分切除, 9月に左肺底区区域切除を施行し,病理検査で悪性黒色腫と診断された.術後に皮膚科,眼科,耳鼻咽喉科で検索,および上下部消化管検査を行ったが原発巣は発見されなかった.術後経過は良好で,術後抗癌剤治療が行われた.術後22カ月無再発生存中である.肺のみに病変が認められた悪性黒色腫を経験した.肺原発あるいは原発不明悪性黒色腫が考えられたが,完全切除により良好な予後が得られた.

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