抄録
症例は60歳,女性.右下腹部に疼痛と腫瘤を触知し,腹壁腫瘍の診断で生検を行ったところ,転移性腺癌と診断された.原発巣精査と加療目的に入院となった.上部・下部消化管内視鏡および小腸造影では異常所見は認められなかった. PET-CTにて左中腹部に集積を認め,空腸と推定されたため,小腸内視鏡検査を行ったところ, Treitz靭帯より約15cmの部位に全周性狭窄を伴う2型病変を認め,生検で中分化腺癌と診断された.他に多発性肺転移,腹壁転移も認められたが,腸閉塞の危険性があったため,小腸部分切除を施行した.術後順調に回復し,術後17日目よりTS-1による化学療法を開始した.原発巣精査にPET-CTは有用であり,術前に小腸内視鏡で確定診断が可能であった空腸癌の1切除例を経験したので報告する.