1991 年 32 巻 11 号 p. 1425-1432
徳島大学小児科では30名の小児難治性白血病・悪性リンパ腫患者に対して,自家末梢血幹細胞移植術(peripheral blood stem cell autografts; PBSCT)を施行した。内訳は急性リンパ性白血病18名,急性骨髄性白血病6名,mixed-lineage leukemia 2名,非ホジキン型悪性リンパ腫(NHL) 4名であり,年齢の中央値は10歳(1∼16歳)であった。発症時に2つ以上の高リスク因子をもつ12名は第一完全寛解期に移植を行い,12名は第二完全寛解期に,4名は第三または第四完全寛解期に,2名は再発時に移植術を施行した。移植前処置としての超大量化学療法は,MCNU+VP-16+Ara-C+cyclophosphamide (MCVAC)療法を主体とし,全身放射線照射は行わなかった。移植後は白血球数,血小板数の回復ともすみやかで,30名中12名が2∼41カ月の間,無治療で完全寛解を維持している。PBSCTは小児難治性白血病·NHLに対する新たな治療法として,有用であると考えられた。