抄録
症例は56歳,男性。リンパ節腫大,近医での胃生検で胃癌の診断にて1986年2月本院入院。頸部および腋窩部に1∼4cmのリンパ節腫大を認め,リンパ節生検は悪性リンパ腫の所見を示した。20日後に再度リンパ節生検を行ったが組織は壊死におちいっていた。近医での胃生検は胃癌の診断であったが標本をとりよせ再検討にて悪性リンパ腫と訂正した。再度,胃生検を行ったが悪性の所見は認められなかった。その後約10カ月間,リンパ節は触知不能であった。1987年10月,LDH上昇,リンパ節腫大,胃病変が再出現し,胃生検にて悪性リンパ腫の所見を得る。抗腫瘍剤にて部分寛解したが,1988年4月消化管出血で死亡。初回リンパ節生検および再発時の胃生検のパラフィン切片をモノクローナル抗体を用いて検索したところ,Ki-1/Ber-H 2 (CD 30)抗原陽性を示し,H·E染色標本所見を併せてKi-1リンパ腫と診断した。