抄録
1970∼1989年の20年間に長崎大学原研内科に入院した造血器腫瘍患者全例(1,760例)についてisoniazid (INH)予防投与の有無と結核症合併の有無をretrospectiveに検索した。結核症合併例は18例(1.0%)で,そのうち入院治療後の発症例は10例(0.6%)であった。INH予防投与施行例の増加に伴い,粟粒結核例や死亡例などの重症例はみられなくなった。INH予防投与施行例中結核症合併例は1例(0.1%)のみで,INH予防投与非施行例(9例,0.9%)と比べ有意に少なかった(p<0.05)。INHの投与量は,0.3 g/日以上であることが望ましいと考えられた。