臨床血液
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臨床研究
EDTA依存性偽性好中球減少例についての検討
小林 昭一関 邦子山口 正直丸田 壱郎児玉 文雄
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1991 年 32 巻 3 号 p. 205-211

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抄録
1989年9月より1990年3月までにEDTA依存性偽性白血球減少を7例認めた。この白血球凝集塊はすべて好中球よりなり,好酸球,好塩基球,単球およびリンパ球は含まれなかった。好中球凝集塊は採血後室温で30∼180分静置後に最大となった。また好中球凝集塊は,37°C 30分加温で完全に分散した。好中球凝集はEDTA濃度に依存し濃度が高いほど大きな好中球凝集塊が認められた。好中球凝集は37°Cでは認められないことや採血直後およびEDTA以外の抗凝固剤では凝集を認めないことからin vivoではなくin vitroでの反応と考えられる。mercaptoethanol agglutination test, 免疫化学的染色の結果からこの好中球凝集はIgM抗体の関与が考えられた。本例の基礎疾患として肝障害がもっとも多かったが,好中球凝集との関連については未だ不明な点が多く,今後の解明を要する。
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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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