臨床血液
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臨床研究
小児急性非リンパ性白血病53例における細胞遺伝学的研究
鹿野 高明内藤 広行小林 良二石川 順一今野 武津子畑山 由起子中館 尚也畑江 芳郎武田 武夫高瀬 愛子
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1991 年 32 巻 7 号 p. 766-772

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抄録

小児急性非リンパ性白血病(ANLL) 53例(15歳以下)を分析し第4回白血病の染色体に関する国際会議(IV IWCL)の報告(19歳以下136例と20歳以上747例)と比較した。また同時期に分析できた小児急性リンパ性白血病(ALL)との染色体所見の比較をし違いを検討した。染色体異常が77.4%にみられた。15;17転座(全例M3),8;21転座(M1またはM2),11q23部位に切断点をもつ異常(全例M5)はIV IWCLの報告より多かった(20.8%, 17.0%, 7.5% vs 6.3%, 6.3%, 3.2%)。ANLLに時々報告されている5q-, t(6;9), t(9;22), -7はみられなかった。次にALLとの染色体所見を比較すると,それぞれに特有な染色体構造異常の他に数異常の観点からも異なる傾向をみとめた。つまり1) ALLでは最も多い染色体数51以上がANLLではみられなかった。2) +8のみの異常はANLLでは7.7%にみられたが,ALLではみられなかった。3) 性染色体欠損はANLLでは7.7%にみられたが,ALLではみられなかった。以上小児のANLLの各染色体異常の頻度は成人例の報告とは異なっていた。またALLと構造異常以外の数異常でも異なることがわかり鑑別診断上有用と思われた。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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