臨床血液
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臨床研究
新生児の凝固・線溶阻止因子の動態
椎木 みどり有吉 宣明中村 外士雄白幡 聡
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1991 年 32 巻 7 号 p. 758-765

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抄録

凝固・線溶阻止物質であるAT-IIIとα2PIならびにAT-IIIとトロンビンの複合体(thrombin·AT-III complex, 以下TAT)とα2PIとプラスミンの複合体(plasmin·α2PI complex, 以下PIC)について,新生児期の動態を検討した。その結果,早期新生児期の正常新生児では,AT-III濃度は正常成人に比べて有意に低値であり,新生病児においてはさらに低値を示した。TAT濃度は,正常小児に比べて有意に高値であり,正常成人値との間にも有意な差が認められた。また,成熟新生病児に高率にTATの上昇例が認められた。α2PI濃度は正常成人値に比べて有意な低下は認められなかったが,日齢と共に増加する傾向を示し,α2PIと日齢との間には,正の相関が認められた。PIC濃度は正常小児,正常成人に比べて有意に高値であった。また,早期新生病児と正常新生児との間では有意な差は認められなかった。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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