臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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臨床研究
多発性骨髄腫における免疫グロブリン遺伝子再構成の検討
—特にL鎖領域およびH鎖定常領域遺伝子について—
丸山 文夫井野 晶夫宮崎 仁野村 俊之新海 晃一脇田 待子小島 博嗣祖父江 良岡本 昌隆松井 俊和清水 一之江崎 幸治平野 正美赤堀 泰黒沢 良和
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1992 年 33 巻 1 号 p. 17-23

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抄録
多発性骨髄腫(MM)28症例について,M蛋白のL鎖およびH鎖種類と遺伝子再構成との関連を,特にL鎖遺伝子領域,H鎖クラススイッチの遺伝子再構成に焦点を当てて検討を試みた。このうちJH再構成を認めた26例について,L鎖遺伝子領域にはCκプローブとκdeプローブを用い,H鎖定常領域遺伝子には5'SμプローブとSγプローブを用い検討した。κ鎖産生12例のL鎖遺伝子型は,7例でCκ再構成κde胚細胞型を示し,4例ではκ鎖産生にもかかわらずκde領域の再構成が認められた。λ鎖産生14例の全例がCκ欠失κde再構成の遺伝子型を示した。IgG型10例中9例でSμ-Sγ結合が検出されλ鎖産生が裏付けられた。また,H鎖M蛋白の産生がないBence-Jones (BJ)型においても,10例中8例で遺伝子再構成はクラススイッチまで進行していた。2例ではBJ型以外のMMにはみられないH鎖定常領域遺伝子の異常再構成が示唆され,BJ型においてH鎖が産生,分泌されない一つの機序と推測された。
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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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