臨床血液
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症例
真性多血症より慢性好中球性白血病へ移行したと思われる1例とその造血前駆細胞動態
藤沢 信松崎 道男原野 浩本村 茂樹大久保 隆男丸田 壱郎児玉 文雄生田 孝一郎佐々木 秀樹
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1992 年 33 巻 12 号 p. 1863-1868

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抄録
症例は57歳,男性。1984年に近医にて真性多血症(PV)と診断され加療を受けていた。その後,巨脾,成熟好中球の著増などがみられ再検討した結果,骨髄穿刺にてPh1染色体陰性でかつ骨髄線維化は認めず,三浦らの示す慢性好中球性白血病(CNL)の診断基準に合致したため,PVよりCNLへの移行例と診断された。その後の加療にも巨脾は改善せず,成熟好中球の著増と肝機能の増悪により1991年6月4日死亡した。本症例の病態についてcolony assay法を用いた造血前駆細胞レベルの検討を行った。その結果,コロニー刺激因子無添加でCFU-E, BFU-E, CFU-GM, CFU-Mix colonyの形成を認め,染色体異常を伴うことと併せ本症例が骨髄多能性幹細胞の段階で腫瘍性増殖を来していることが示唆された。PVよりCNLへ移行した症例は検索し得た限りでは2例が報告されているのみでまれであり,本症例はCNLの病態を考えるうえで興味深いと考えられた。
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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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