抄録
Myelodysplastic syndrome (MDS)においてmonoclonal gammopathy(M蛋白血症)やB cell malignancyが合併する報告は諸外国では体系的な報告がなされているものの,わが国ではきわめて少ない。われわれはM蛋白血症を有する同胞内発症,しかもほぼ同時期発症例を経験した。73歳の兄はMDS (RAEB)で,IgAλ型のM蛋白血症があり,骨髄中形質細胞は2.8%であった。70歳の妹はMDS (RAEB in T)で,IgGは1,901 mg/dlと増加し,IgGκ型のM蛋白血症があり,異型性を有する形質細胞が12.8%認められた。いずれも骨病変は無く,兄例はmonoclonal gammopathy with undetermined significance (MGUS), 一方妹例はsmoldering myelomaとの合併と考えられた。いずれも輸血のみで経過観察したがAMLや形質細胞の増加はみられなかった。本症例は,MDSは顆粒球系およびT, Bリンパ球の両方へ分化し得る未分化な多能性幹細胞の異常であるとする報告を,臨床血液学的に示唆するものと考えられる。