臨床血液
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症例
本態性血小板血症に対するα型インターフェロン療法
橋爪 誠壹岐 聖子八木澤 雅子大林 由明佐藤 宏浦部 晶夫
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1992 年 33 巻 2 号 p. 232-237

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抄録
本態性血小板血症(ET)におけるα-インターフェロン(α-IFN)の血小板減少機序は詳細不明であるが,類縁疾患である慢性骨髄性白血病や真性多血症などでもα-IFNによる血小板数抑制効果の報告がある。今回,われわれはETに対してα-IFNを投与し,速やかな血小板低下傾向を認めた2例を経験した。1例ではα-IFN 600万U隔日皮下投与により速やかな血小板の減少を認めた。しかし全身の掻痒症が出現したため,投与継続を断念した。1例は300万U連日皮下投与後,血小板は速やかに減少し,血小板数のコントロールは良好であった。2例ともα-IFN投与前後での骨髄clot sectionでは治療前後で巨核球数に大きな変化を認めなかった。このことは,α-IFNを投与すると早期から巨核球からの血小板産生が抑制される可能性を示すものと考えられる。α-IFNは巨核球前駆細胞の分裂増殖を抑制するだけではなく巨核球からの血小板産生をも抑制するのではないかと思われた。
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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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