抄録
症例は56歳,男性。昭和63年2月,近医で左頸部リンパ節・扁桃腫大,脾腫を指摘された。同年4月,血便出現。直腸生検で悪性リンパ腫が疑われ9月5日入院。扁桃腫大,左頸部・腋窩リンパ節腫大を認め,脾を4 cm触知。末梢血:WBC 9570(核に切れ込みを有する中型の異常細胞11%)。骨髄浸潤あり。胃・大腸にmultiple lymphomatous polyposisを認めた。傍大動脈リンパ節腫脹あり。右鼠径部リンパ節生検組織像よりintermediate lymphocytic lymphoma (ILL) (clinical stage IV B)と診断され,9月25日より多剤併用化学療法を施行するも改善をみず中止。etoposide·prednisolone療法にて部分寛解を得,外来にて同療法継続中である。腫瘍細胞の表現型:末梢血・鼠径部リンパ節にて施行。CD3 (-) CD4 (-) CD5 (+) CD8 (-) CD25 (+) CD10 (-) CD19 (+) CD21 (+) HLA-DR (+) sIgμδ, λであった。本例はILLと消化管病変との関係さらには治療を考える上で非常に興味深い症例と思われる。