臨床血液
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症例
多発関節炎,血管炎,急性腎不全など多彩な病態を呈した赤芽球癆の1例
佐伯 明子海渡 健小林 正之西脇 嘉一増岡 秀一島田 貴吉田 真弓落合 成正酒井 紀
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1993 年 34 巻 11 号 p. 1480-1485

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抄録

多発関節炎,血管炎,急性腎不全,DICなど多彩な病態を呈し,ステロイドパルス療法が奏効したPRCAの1例を経験した。症例は55歳の女性,1991年9月ごろから関節痛,朝のこわばり,微熱を自覚し,その後全身倦怠感と発熱が増強するため入院となった。入院時Hb 4.4/dlと著明な貧血を認め,網赤血球と骨髄赤芽球の消失などからPRCAと診断。また著明な白血球,血小板の増加,抗核抗体陽性,γグロブリンやCRPの上昇,さらに多発関節炎や腎血管撮影所見などから,血管炎を伴う自己免疫疾患が基礎疾患と考えられたが診断基準に合致するものはなかった。患者はステロイドパルス療法により全身状態と貧血の急速かつ著明な改善が観察され退院した。全身性ループスや関節リウマチなどにまれにPRCAが合併するが,本症例では種々の自己免疫疾患の診断基準は満たさず,またこのように多彩な病態を伴うPRCAの報告はまったく認められず,興味ある症例と考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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