臨床血液
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症例
CD14陽性,非特異性エステラーゼ陽性好中球を認めたRAEB in Tの1例
小林 昭一山本 敏晴秋葉 千代美片山 典子坂井 慶子山口 正直丸田 壱郎小川 浩司藤沢 信酒井 リカ児玉 文雄
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1993 年 34 巻 11 号 p. 1474-1479

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抄録

May-Giemsa染色上形態学的に好中球と考えられる細胞の66.5%がNaFにより阻害される非特異性エステラーゼ染色陽性であったRAEB in Tの1例を経験した。症例は34歳,男性。1992年11月10日腰痛,貧血にて当センター入院となった。末梢血ではヘモグロビン9.2g/dlと中等度の貧血を認めた。白血球数は13,500/μlで,そのうち芽球が33%を占め,単球数は3,400/μlであった。骨髄は過形成で芽球が21.8%を占めていた。末梢血の細胞化学的染色では,好中球様細胞はperoxidase染色陽性率4.0%, alkaline phosphatase染色陽性率75.0%であった。末梢血の免疫細胞化学的染色による好中球様細胞の表面マーカー検索では,単球には表出されず顆粒球の細胞上に表出されるCD16, CD24の陽性率がそれぞれ94.5%, 91.0%であり,また一般的に成熟顆粒球には表出されず単球の細胞上に表出されるCD14, CD33, CD36, HLA-DRの陽性率はそれぞれ52.5%, 39.0%, 16.5%, 17.0%であった。以上の結果より本症例の好中球様細胞は,単球の性格を合わせもつ好中球と考えられた。骨髄異形成症候群は多能性幹細胞のレベルの異常であり,腫瘍性変化に伴う分化過程の異常としてこのような好中球が出現する可能性は考えられるが,実際の報告例はきわめて少なく貴重な症例と思われる。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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