臨床血液
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シンポジウム2
顆粒球造血の調節と臨床
顆粒球造血抑制因子
浦瀬 文明
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1993 年 34 巻 5 号 p. 567-571

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抄録

好中球造血は特異的に分化・増殖を促進するG-CSFによって調節されているが,その負の調節機構の存在については明らかではない。私たちの検討で化学療法後の造血回復期の血中に顆粒球コロニー抑制因子の存在が示唆された。その活性がG-CSF刺激コロニーに特異的であることから血中の可溶型G-CSF受容体の存在が想定された。尿の濃縮分画について行った,G-CSF受容体抗体を用いたimmunoblotでその存在がみいだされ,血漿中のG-CSF受容体の精製を試みた。G-CSF affinity columnから溶出されたG-CSF結合蛋白とG-CSFとの結合体は約90Kdであり,抗CRHドメイン抗体に反応するG-CSF受容体の細胞外ドメインであると考えられた。90Kd以下のG-CSF受容体フラグメントも認められた。これらの蛋白のG-CSFとの結合は抗G-CSF抗体を用いたimmunoblotで観察され,顆粒球コロニー抑制活性も認められた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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