臨床血液
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症例
自然寛解を示した成人T細胞性白血病の1例
菊池 雅子小野 和俊嶋本 義範山口 雅也
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1993 年 34 巻 6 号 p. 728-732

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抄録

自然寛解を示した成人T細胞白血病(以下ATL)の1症例を経験したので報告する。症例は50歳女性。全身のリンパ節腫脹,末梢血液の分葉した核を持つ異常リンパ球の存在のために当院に紹介された。末梢血中の特徴的な異常リンパ球,細胞表面マーカー,抗HTLV-I抗体が陽性であることよりATLと診断した。入院前より既に末血の異常リンパ球数は減少傾向にあったが,入院後も無治療にてリンパ節腫脹・LDH高値は徐々に改善し末血中の異常リンパ球は消失した。その後10カ月は無治療にて寛解状態を保っていたが発症より約1年後に増悪をきたし全経過約2年で死亡。サザンブロット法による遺伝子解析では寛解前と再発後で同部位にHTLV-I proviral DNAのモノクローナルな組み込みが認められた。この症例においては自然寛解の契機は不明である。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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