臨床血液
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臨床研究
血中エリスロポエチン濃度測定の臨床的意義
吉田 彌太郎原 宏高橋 豊山口 延男川越 裕也柴田 弘俊大野 陽一郎手島 博文
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1993 年 34 巻 8 号 p. 895-903

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抄録
血液疾患を中心とする各種疾患413例,および血液学的正常者146例の血中erythropoietin (EPO)濃度を,radioimmunoassay (RIA)法により測定し,その臨床的有用性について検討した。また日内変動についても併せて検討した。正常値は性差がなく,13.5∼27.1 mlU/ml (logM±SD)であった。真性多血症では,未治療の7例全例において5.5 mIU/ml以下の低値を示した。腎性貧血以外の貧血症では,血中EPO濃度とHt値は疾患ごとに固有の負の相関を示し,再生不良性貧血(AA)がこの関係においてもっとも高いEPO濃度を示した。AAではまた重症度の進行に伴い血中EPO値も高値化する傾向が認められ,骨髄移植実施例では正常値化していた。溶血性貧血においては,発作性夜間血色素尿症例のEPO値が例外的に高値を示した。これらの結果から,血中EPO濃度は骨髄の赤血球造血能を良く反映する指標であると考えられ,各種の血液疾患の鑑別および病態把握に応用できる可能性が示された。血中EPO濃度は夜高くなる日内変動を示した。
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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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