臨床血液
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臨床研究
同種骨髄移植後遅発性出血性膀胱炎に対するprostaglandin E1膀胱内注入療法
中世古 知昭王 伯銘佐藤 宏趙 龍桓石井 昭広池上 智康木暮 勝広深沢 元晴横田 朗川野 英一郎橋本 真一郎門沢 浩二西村 美樹松浦 康弘比留間 潔中村 博敏浅井 隆善
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1995 年 36 巻 8 号 p. 728-734

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抄録
1990年7月より1994年3月までに当科にて行った同種骨髄移植は31例であるが,移植後100日以上生存した評価可能症例29例のうち,11例(37.9%)に遅発性出血性膀胱炎を合併した。出血性膀胱炎は11∼205日(中間値57日)に発症した。4例に尿中よりアデノウイルス11型を検出した。11例のうち5例は保存的治療にて軽快したが,6例に尿中凝血塊を認め,うち5例は水腎症を合併した。尿中凝血塊の認められた6例に対し,重症化防止として7日間のprostaglandin E1 (PGE1) 500 μgの膀胱内注入療法を行った。のべ9コースの治療に対し,開始7日後の効果判定では著効3例4コース,有効2例4コースで奏効率(著効+有効)は88.9%であった。副作用として注入時の膀胱刺激症状を全例に認めたが,対症療法にて対処可能であり,全身的副作用は認めなかった。PGE1膀胱内注入療法は同種骨髄移植後の遅発性出血性膀胱炎の重症化防止,血尿管理に有効であり,安全に行える治療法であると思われる。
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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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