抄録
1985年5月∼1992年3月に施行した骨髄移植後の剖検例12例のホルマリン固定,パラフィン包埋された肺組織を用いて,H.E.染色,免疫染色,polymerase chain reaction (PCR)を行い,サイトメガロウイルス間質性肺炎(CMV-IP)について検討した。8例が臨床上間質性肺炎(IP)を合併し,うち3例は気管支肺胞洗浄液よりCMVが検出され,CMV-IPと診断された。剖検肺組織のH.E.染色では,臨床上のIP症例8例中2例は巨細胞封入体を認め,残る6例は線維化が主体であった。これら6例中4例は免疫染色法,あるいはPCR法にてCMVが証明された。また,臨床上CMV-IPと診断された3例は組織では巨細胞封入体を認めず,免疫染色法あるいはPCR法によりCMVが証明された。骨髄移植後のCMV-IPはH.E.染色のみでは診断困難な症例もあり,免疫染色法やPCR法によるCMVの検出が有用な場合があると考えられた。