臨床血液
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臨床研究
骨髄移植後の剖検例におけるサイトメガロウイルス間質性肺炎に関する検討
酒井 リカ丸田 壱郎田口 淳富田 直人児玉 文雄原田 昌興清水 昭男中村 圭靖飯田 萬一亀田 陽一本村 茂樹小川 浩司原野 浩藤沢 信松崎 道男大久保 隆男
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1995 年 36 巻 8 号 p. 735-741

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抄録
1985年5月∼1992年3月に施行した骨髄移植後の剖検例12例のホルマリン固定,パラフィン包埋された肺組織を用いて,H.E.染色,免疫染色,polymerase chain reaction (PCR)を行い,サイトメガロウイルス間質性肺炎(CMV-IP)について検討した。8例が臨床上間質性肺炎(IP)を合併し,うち3例は気管支肺胞洗浄液よりCMVが検出され,CMV-IPと診断された。剖検肺組織のH.E.染色では,臨床上のIP症例8例中2例は巨細胞封入体を認め,残る6例は線維化が主体であった。これら6例中4例は免疫染色法,あるいはPCR法にてCMVが証明された。また,臨床上CMV-IPと診断された3例は組織では巨細胞封入体を認めず,免疫染色法あるいはPCR法によりCMVが証明された。骨髄移植後のCMV-IPはH.E.染色のみでは診断困難な症例もあり,免疫染色法やPCR法によるCMVの検出が有用な場合があると考えられた。
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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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